英語では「ネポティズム(nepotism)」と呼ばれる
日本社会で言う「親の七光り」に最も近い英語はとして使われるのが「ネポティズム(Nepotism)」。ネポティズムとは、和訳すると「縁故主義」を意味し、自分の家族や親戚といった血縁者や同じ地域の出身者、昔からの知人などを“えこひいき”し、優先して恩恵を与えることを言う。
ネポティズムの語源は、ローマ教皇が愛人に産ませた子どもを甥(Nephew/ネフュー)と称して特権を与えたことに由来すると言われていて、「身内や仲間に対して甘い顔をする」という意味にくわえて「それ以外の人々に対して厳しい顔をする」という排他的な側面も持つ。
ハリウッドは表も裏も「ネポベイビー=2世」がたくさん
さまざまな分野や業界において多様性が叫ばれている現代のアメリカで、ネポティズムがとくに顕著だと言われるのが、ハリウッドを中心とするショービズ界。お気づきの通り、ショービズ界には“2世セレブ”と呼ばれる人たちがわんさか。役者やシンガーとしてカメラの前に立つ人だけでなく、映画やドラマ、CMなどの制作を手がける“裏方”も親が映画界の重鎮や、有名な俳優やアーティストといった、生まれながらに恵まれた肩書きを持つ人が多い。
2022年12月にはNew York Magazineが「母親と同じ目をしているね。そしてエージェントも同じ。ハリウッドのネポベイビー・ブームを過剰分析」という特集を掲載。ネポベイビーとは、ネポティズムの恩恵を受けている2世のことを指す造語。ハリウッドには、雑誌で特集が組めるほど多くのネポベイビーたちがいるのだ。
この特集は欧米で大きな注目を浴び、直後にツイッターやTikTokではネポベイビーの話題が急上昇。“特権階級は自身の特権を認識するべきだ”という考えが強い現代においては、ネポベイビーも特権問題のひとつとして中温煦を集めており、記事執筆時点で、欧米で最もホットな議論のひとつとなっている。