マット・デイモンが、娘に指摘されて同性愛者への差別用語を使うのをやめたとインタビューで発言して物議を醸している。(フロントロウ編集部)

娘に言われて差別用語を使うのを「引退」したと発言

 俳優のマット・デイモンが英Sunday Timesで「現代における男性らしさの変化」について持論を展開している中で、「子供の頃には(差別とは)違う用途でよく使われていた」同性愛者への差別用語を最近になって使わなくなったとして、娘とのやりとりを明かした。

画像: 娘に言われて差別用語を使うのを「引退」したと発言

「数ヶ月も前に(その言葉を使った)ジョークを言ったら、娘から反論されたんだ」

「娘がテーブルを離れたから、僕は『なあ、これはジョークだよ!』と言って、映画『スタック・オン・ユー』で言っているんだ!』と言った。娘は自分の部屋に行って、その言葉がいかに危険であるかについて、とても長くて美しい論説を書いてきてね。私は『この差別用語を引退します!』と言った。私は理解したんだ」

 おかしいことにはおかしいときちんと反論できる新しい世代に希望を感じる一件だが、インタビューが公開されると、もう長いあいだ差別用語として不適切だとされている言葉を“数ヶ月”前まで使用しても良いと思っていたというマットの発言には、一般人だけでなく著名人からも憤りの声が。

 それを受けて、マットが声明を発表した。

「私はLGBTQ+コミュニティの味方です」と声明を発表

 英Sunday Timesのインタビューが公開された直後、マットは米Varietyに声明を発表。当初のインタビューではジョークの中で使ったと明言していたマットだが、声明では、「私生活」で当事者に対してその言葉を使ったことはないと断言し、こう語った。

「最近のインタビューの中で、私は娘とのやりとりに触れました。その中で、私がボストンで育ち、何を指しているのかもわからないうちに街中で(同性愛者への差別用語を)耳にしていた子供の頃から、決して完全ではないものの、(社会が)進歩していることを娘に説明しようとしました」

「私は、その言葉が常に何気なく使われており、2003年には私の映画の中で台詞として登場していたことを説明しましたが、彼女は、その言葉が無意識に使われていた時代があったとは信じられないと言いました。私が感心し、誇りに思ったのは、文化的にどれだけ普通になっていても、LGBTQ+コミュニティの誰かがその言葉を使うことでどれだけの痛みを感じるかについて、彼女が非常に明確に説明してくれたことです。私は彼女に同意しただけでなく、彼女の情熱、価値観、社会正義への願いに感激しました」

「私は私生活で誰かを(同性愛者への差別用語で)呼んだことはありませんし、今回の娘との会話が私にとって(使ってはいけないという)気づきになったわけではありません。私はいかなる種類の中傷も使用しません」

「私は、偏見をなくすためには、自分が"善人の一人"であると想像して受動的に安心するのではなく、正義に向かって積極的に動くことが必要だと学びました。また、LGBTQ+コミュニティに対する公然とした敵意がいまだに珍しくないことを考えると、私の発言が多くの人に最悪の事態を想定させてしまったことも理解できます。できるだけ明確に言うと、私はLGBTQ+コミュニティの味方です」

インタビューで「娘」を出して炎上したのは2度目

 今回のインタビューで皮肉なのは、マットがインタビューの中で、世間で騒がれないようにインタビューでは発言に気をつけていきたいと語っていたところ。

 マットは、旧友である映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが長年にわたる女性への性暴力を告発された2017年に、「4人の娘を持つ父親として、このような性犯罪を目の当たりにすると、夜も眠れません」と発言した際に、“娘を持っているいない関係なくおかしいと思うべき”と大きな批判を受けた(※)件に触れた上で、“インタビューでの発言”について語った。

※当時、男性セレブの多くが声明で「娘を持つ父親として」という言葉を使ったため、アメリカ社会ではこのような批判が起きた。

画像: アカデミー賞を受賞した、マット・デイモンとベン・アフレックの1997年の映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』は、ハーヴェイ・ワインスタインがプロデューサーのひとりを務めた。

アカデミー賞を受賞した、マット・デイモンとベン・アフレックの1997年の映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』は、ハーヴェイ・ワインスタインがプロデューサーのひとりを務めた。

 20年前のジャーナリストは「歌詞よりも音楽に耳を傾けていた」と、発言が細かく分析される現代とは違かったと語ったマットは、「以前は、私が何を言ってもニュースにならなかったから、あまり重要ではなかった。でも、この変化は良いことなのかもしれない。だから、私はもっと黙るようになった」と、今は余計なことは言わないようにしていると明かした。しかしその同じインタビューでの発言が炎上することになってしまった。(フロントロウ編集部)

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