LGBTQ+とカミングアウトしているセレブたちが、当事者のファンたちにポジティブな影響を与えているという調査結果が発表された。(フロントロウ編集部)

ザ・トレヴァー・プロジェクトから表彰されたリル・ナズ・X

 先日、ラッパーのリル・ナズ・Xが「セクシャリティについての葛藤や自殺願望を抱いていたことをオープンにしていることや、メンタルヘルスの問題について継続して声をあげていること、そしてクィアとしてのアイデンティティを悪びれずに祝福していること」が評価されて、LGBTQ+の若者たちの自殺予防や危機介入を行なっている団体であるザ・トレヴァー・プロジェクト(The Trevor Project)によって新たに設立された、「Suicide Prevention Advocate of the Year Award(自殺防止提唱者オブ・ザ・イヤーの意味)賞」を受賞した。

 リル・ナズは「Old Town Road」が全米シングルチャートの首位を独走していた真っ最中だった2019年6月30日にゲイであることをカミングアウト。以来、LGBTQ+コミュニティのために積極的に声をあげてきており、9月17日にリリースを控えている待望のデビューアルバム『モンテロ』でも、タイトルトラックである「MONTERO (Call Me By Your Name)」やシングル「SUN GOES DOWN」で、ゲイである自身のアイデンティティをオープンに歌っている。

LGBTQ+の人々の多くが、LGBTQ+の著名人に救われていると感じている

 リル・ナズに賞を与えたザ・トレヴァー・プロジェクトが発表した、LGBTQ+の若者たちが抱えるメンタルヘルスの問題について調査した最新のレポートによれば、アメリカではLGBTQ+の若者たちの80%以上が、LGBTQ+であることを公言しているセレブたちはLGBTQ+であることに対する気持ちに「ポジティブな影響」を与えていると感じているという。

画像: ノンバイナリーであることをカミングアウトしたデミ・ロヴァート。

ノンバイナリーであることをカミングアウトしたデミ・ロヴァート。

 ザ・トレヴァー・プロジェクトのレポートによれば、新型コロナウイルスのパンデミックによって2020年にメンタルヘルスに問題を抱えることになったLGBTQ+の若者たちは多いといい、調査した若者たちのうちの40%が、この1年の間に「自殺願望を抱いた」と回答している。また、調査した直近の2週間の間だけでも、その期間に何かしらの不安の症状が出た若者は68%だったという。

 また、この報告書では、LGBTQ+の若者たちの3人に1人が、LGBTQ+というアイデンティティを理由に、人生のなかで身体的な危害を加えられそうになった、もしくは危害を加えられたことがあるというデータも示されている。加えて、LGBTQ+というアイデンティティを理由に差別を経験したことがあるのは3人に2人だといい、いずれも、危害に遭ったことがない人や、差別を経験したことがない人と比較して、自殺願望を抱いたと回答した人の割合が高かったという。

 そうしたなか、LGBTQ+であることに肯定的な、パーソナルな空間にアクセスする手段が少なくとも1つあると回答したのは78%で、少なくとも1人以上から、高いレベルでのサポートを受けられていると回答したのは86%であることもこの調査結果から明らかになっており、LGBTQ+であることに肯定的な空間にアクセスすることができると回答した若者たちは、自殺願望を抱いた割合が低いというデータも。

 アイデンティティに対するサポートや共感がメンタルヘルスに重要な影響を与えるなか、LGBTQ+であることを公言しているセレブたちに「ポジティブな影響」を受けていると感じている若者が80%というデータは、公の場でのレプリゼンテーションが、当事者たちにいかに大きな影響を与えているかを示している。

 また、今回の調査結果では、LGBTQ+を支援しているブランドについての項目も設けられており、50%以上の若者が、そうした企業がLGBTQ+であるというアイデンティティに対する自分たちの気持ちに「ポジティブな影響」を与えていると回答している。

リル・ナズ・Xは理想的な受賞者

 今回、リル・ナズ・Xに「Suicide Prevention Advocate of the Year Award」を授与するにあたり、ザ・トレヴァー・プロジェクトでCEO兼エグゼクティブ・ディレクターを務めるアミット・ペイリー氏は次のように述べている。「ザ・トレヴァー・プロジェクトのリサーチによれば、LGBTQ+の若者たちの80%以上が、LGBTQ+であることに対する自分たちの気持ちにLGBTQ+のセレブたちがポジティブな影響を与えていると感じていることを示しています。これは、自分らしさに誇りを持っているリル・ナズ・Xがカルチャーに与える影響と、この新設された賞の受賞者として彼が理想的であることを証明しています」。

画像: リル・ナズ・Xは理想的な受賞者

 「セクシャリティやジェンダー・アイデンティティをめぐる偏見は未だに現実としてあり、私たちのコミュニティには、サポートを受けていると実感し、自分らしくあることへの完全な自由を得る権利があります」とリル・ナズは今回の受賞にあたって声明で述べている。

 「私はよく、鬱や自殺願望に悩まされているというファンからメッセージをもらうのですが、(自分の声は)自分自身よりも大きい何かなのだということを実感します。もしも私の声や、音楽を通じての自己表現が孤独を感じている1人の子供を助けているのだとしたら、それだけで価値があると言えます」。(フロントロウ編集部)

 

This article is a sponsored article by
''.