2021年9月3日より公開となった映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でシャーリン役を務めたメンガー・チャンをご紹介。(フロントロウ編集部)

メンガー・チャン、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』で一躍有名に!

 MCU初のアジア系ヒーローを描く『シャン・チー/テン・リングスの伝説』が2021年9月3日より公開となった。『アイアンマン』シリーズに登場した悪の組織、「テン・リングス」の秘密がついに明かされる本作は、世界41カ国で初登場No.1の動員数を記録する大ヒットとなっている。

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 メンガー・チャンは、主人公であるシャン・チー(シム・リウ)の妹、シャーリンを演じた俳優。鉤縄のような武器を操り、英語と中国語の二か国語を使い分ける実力派のシャーリンを演じたメンガーは、中国の南京市出身の俳優。

 現在34歳である彼女は、本作で映画デビューを果たし、一躍世界的に知られる俳優となった。

メンガー・チャン、マーベル映画だとは知らずにオーディション

 俳優の母と舞台美術科の父の間に生まれたメンガーは、プロの俳優になる前は、生まれ育った南京と上海で舞台やミュージカルに出演していた。

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 南京芸術学院やロンドンイースト15アクティングスクール、ロシアのGITIS演劇芸術アカデミーといった学校で学位を取得しながら演技の腕を磨いた彼女は、米THRのインタビューで「劇場は私の子供時代の遊び場だった。演劇は常に私の血の中にある。俳優になるのを疑ったことはない」と語っている。

 その後、中国のドラマ『黎明之街』などに出演していたメンガーだが、ある日グループチャットで中国語と英語を話せる女性を募集しているオーディションを発見し、「私ならできる」と思って応募。自作のオーディションテープを送ってみたところ返事があり、オーディションを受けていくうちに、その作品がなんとMCU映画の『シャン・チー』であると気づいたという。

 しかし、マーベルはオーディションの段階から徹底した情報の管理が行なわれているほどの秘密主義。家族にもマーベル映画に抜擢されたことを話すことができず、撮影のためのオーストラリア行きも旅行だと思われていたそう。ようやく情報が解禁された時、家族が衝撃を受けたのは言うまでもない。

シム・リウと共に4ヶ月の厳しいトレーニング…

 テコンドーと中国武術の詠春拳のバックグラウンドを持ち、スタントマンとしても活動していたシャン・チー役のシム・リウとは違い、武術の心得があったというわけではない彼女は、『シャン・チー』の撮影前のトレーニングでかなり苦労したという。

 トレーニング開始した初日、メンガーは興奮しながらシムに「ねえ兄弟、私たちにはパーソナル・トレーナーがいて、何人ものスタント・トレーナーがいて、毎日食事のプランが用意されてる。しかも、お金ももらえる。これに勝るものはないよ」と話しかけたそう。しかしシムは「僕はここに来て1ヶ月以上になる。きみはまだ最初の日だからね。一週間後にまた(調子はどうか)質問をして、どうなってるか見てみよう」とサラリと返答。

 一週間後、メンガーは誰かと話す気力もないほど疲れてしまい、トレーニングの大変さを思い知ったそう。

 初めのうちはロープ付きの短刀の扱いに苦戦していたメンガーは、見事トレーニング中に技を習得。最終的には、シムと共に激しいアクションシーンをこなせるようになった。

 ちなみに、彼女にとって撮影での1番の思い出は、シムと初めて格闘シーン撮影したときだそう。彼女は、「私とシムは1,000回も練習したのに、本当に緊張した。彼は私を励ましてくれて、『本気で殴っても大丈夫だよ。僕は大丈夫だ。僕を傷つけることはできない』と言ってくれたから、私は『OK』と答えた。それで私は自分のキャラクターになりきって、彼の顔にパンチを食らわせた。そんなつもりはなかったんだけど。私は自分のキャラクターになりきっていたから」と、シムを誤って殴ってしまったことを告白。シムにとってはいい思い出かどうかはわからないとしつつ、「私は楽しむことができた(笑)。いい気分だった」と語った。そのシーンは、映画で見ることができる。

『シャン・チー』のアクションデザイナーと結婚!オークワフィナも祝福

 そんなメンガーは、『シャン・チー』のアクションデザイナーであるヨン・リーと撮影を通して交際に発展して撮影中に結婚!彼女は自身のインスタグラムでプロポーズも結婚指輪も結婚式も用意していないことを明かしていたが、映画のキャストやクルーは、“シャン・チー婚”となる2人にサプライズで盛大なパーティーを開いてくれたという。

画像: 『シャン・チー』のアクションデザイナーと結婚!オークワフィナも祝福

 また、主演のシムは2人にディズニー旅行をプレゼントし、ケイティ役のオークワフィナはサプライズパーティーの会場を予約してくれたそう。

 彼女の夫となったヨンは、米ETのインタビューで「彼女(オークワフィナ)から電話があって、『あなたたちは結婚披露宴をしたの?』と聞いてきた。僕が『いいえ』と答えると、彼女は『じゃあ、きみのために用意するよ』と言い、『何人招待するの?』と聞いてきたんだ。僕が『3人?』と答えると、彼女は『まあ、とりあえず会場全体を予約したよ』と言ったんだ」と、キャストたちの仲の良さがうかがえる心温まるエピソードを明かしている。

ハリウッドのステレオタイプに挑戦

 また、メンガーは2018年に始まった『シャン・チー』制作にあたって、ハリウッドにおけるアジア系のステレオタイプを打ち壊すための挑戦をしたと米Slash Filmのインタビューで語っている。

画像: ハリウッドのステレオタイプに挑戦

 ハリウッドでは、アジア系女性のキャラクターに反抗的でタフな印象を持たせるために、髪にメッシュを入れるという偏った表現が問題になっている。映画『パシフィック・リム』に出演した菊地凛子が演じた森マコの髪に青のメッシュが入っていたのも、その例の一つ。

 しかし、実際のアジア人女性は、他の人種の女性と同じように多様性に富んでおり、映画やコミックで描かれている「アジアの強い女性=メッシュを入れている」という表現はあくまでステレオタイプ。

 一連の問題を提起した米Teen Vogueの記事を読んだメンガーは、「自分のキャラクターにはそんな傾向を持たせたくない」と考え、もともと黒髪の下に少しだけ赤い色のエクステンションを入れていたシャーリンの髪の色を変えようと監督のスティン・ダニエル・クレットンに提案。「その部分(髪の毛の色)を削除できないか聞いてみたところ、みんなが協力してくれて、プロダクション全体が同意してくれたから、翌日には削除できた」と語っている。

 今後シャーリンを再び演じる可能性について、「わからない。彼女の次の展開がとても楽しみだから、本当に知りたい。とてもワクワクしてる」と米THRのインタビューで語ったメンガー。再び彼女がシャーリンとしてスクリーンで活躍することに期待。(フロントロウ編集部)

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