俳優のアンジェリーナ・ジョリーが、アメリカの女子体操代表の元チームドクターによる性的虐待事件の公聴会で証言をした選手たちを称えた。(フロントロウ編集部)

性的虐待事件をめぐる公聴会で被害にあった選手たちが証言

 アメリカの女子体操代表の元チームドクター、ラリー・ナサールが治療と称して選手たちを性的に虐待した罪で有罪判決を受けた事件をめぐって、アメリカ体操連盟の対応やFBIの捜査に問題があったことを調査するための公聴会が、現地時間9月14日にワシントンD.C.で行われた。

 ナサール元医師による卑劣な行為が明るみになったのは2015年頃。被害にあったのはほとんどが10代の少女で、なかには声を上げる者もいたが、多くは「(一連の性的虐待行為は)治療の一環であり、これはオリンピックに出場するために必要なことである」と信じこまされ、ある種の洗脳状態にあったとされる。また、少女たちの心と体に深い傷を残したナサール元医師はすでに性的虐待の罪で175年の禁錮を言い渡されている。

画像: 性的虐待事件をめぐる公聴会で被害にあった選手たちが証言

 公聴会には、今年7月に開催された東京五輪でメンタルヘルスの不調を理由に複数の種目を棄権して話題になったシモーネ・バイルズや、ロンドン五輪金メダリストのマッケイラ・マロニー、ロンドン五輪とリオデジャネイロ五輪の2大会連続で金メダルを獲得したアリー・レイズマンらが出席。

 証言台に立ったシモーネは、体操連盟が虐待の実態を知りながらそれを放置したとして、「連盟が私たちを守るために必要なことをしてくれなかったせいで、私たちは今も苦しみ続けています」と涙ながらに訴えた。また、マッケイラも、FBIの当時の対応に不備があったとして、「(被害を訴えてから)約1年半後にようやく報告書をあげてきたと思ったら、私の主張とはまったく違う内容に作り変えられていました。FBIは私や数えきれないほどたくさんの被害者よりも、性的虐待者を守ることを選びました」と痛烈に批判。今後のためにも自分たちの非を認め、真実を明らかにすることを求めた。

アンジェリーナ・ジョリーが証言をした選手たちを称える

 公聴会が終わったあと、俳優や監督、人道主義者など様々な肩書きを持つアンジェリーナ・ジョリーが、証言をした選手たちと面会したことを先日お伝えしたが、そのときに選手たちと撮影した写真をアンジェリーナが自身のインスタグラムで公開した。

 アンジェリーナは彼女たちへの思いをこう綴っている。

 「昨日、上院司法委員会に出席した勇敢な米国の体操選手たちと会うことができて光栄でした。私は、彼女たちの勇気と、この先行われる虐待調査の失敗を防ぐための取り組みに畏敬の念を抱いています。アリー・レイズマンは、『100人以上の被害者が虐待を免れることができたかもしれません。(そのためには)ひとりの大人が正しいことをするだけでよかったのです』と証言しました。彼女たちと、システムの改革のために再びトラウマと向き合う方々にサポートと敬意を送ります」

 ちなみに、今回、2日間にわたってワシントンD.C.に滞在したアンジェリーナは、選手たちの面会のほかに、ホワイトハウスや司法省の高官、上院議員らと「女性に対する暴力防止法(Violence Against Women Act/VAWA)」の再承認やFBIの改革、司法研修、そして偏りのない法医学的証拠収集を含む健康の平等の重要性について話し合いを行なった。(フロントロウ編集部)

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