性暴力被害を題材とした『I May Destroy You(原題)』のミカエラ・コールが、エミー賞の受賞スピーチで思いを語った。(フロントロウ編集部)

ミカエラ・コール、物語の作り手へメッセージ

 ミカエラ・コールが脚本、主演、共同監督を務め、批評家から絶賛されたドラマ『I May Destroy You』が、第73回エミー賞で脚本賞を受賞した。

 本作は性暴力を題材としたもので、ミカエラが過去に被害を受けたレイプ事件の実体験が基になっている。彼女が演じた主人公アラベラは、ロンドンに住む、ツイッターで人気の作家。次回作の締め切りに追われるなか友人と出かけた彼女は、翌日に、前夜に何があったかを思い出せずにいた。そしてその夜を思い出すなかで、彼女は、自分の友人、家族、キャリア、恋愛、人生について考える…。

 レイプから、同意のある性行為中に同意なくコンドームを外すステルシングなどの性暴力まで扱った『I May Destroy You』は、2021年ゴールデン・グローブ賞のノミネーションでスルーされた時には、主催者に対して大きな批判が巻き起こるほどの高い評価を得ている。

 そして、ついにエミー賞で脚本賞を受賞するに至ったミカエラは、その受賞スピーチで「おもに脚本家たちに向けて書いたことがあります」と話しはじめ、これまでタブー視されがちだった性暴力を題材にし、視聴者の心を動かすドラマをまとめあげた彼女らしい思いを語った。

 「自分たちを怖がらせる物語を書きなさい。あなたを揺さぶり、不快なものを。これは私からの挑戦状です。この世は、自分自身についての考えを決めるために他人の生活を流し見る誘惑がある世。一方で、最近では人目にさらされることが成功と等しい世界になっているから、常に見られる必要性を感じる。そこから消えることを、私たちの間から少しだけ消えることを、恐れるな。そして静寂のなかで、何がひらめくかを見てみなさい」

 そして彼女は、最後をこのように締めくくった。

 「この物語を、すべての性暴力サバイバーに捧げます」

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.