2021年9月に日本語版が発売された、『世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本』という絵本。ジェンダー平等への理解を深めるために、子供も、大人も、親子でも読みたい本書をご紹介。(フロントロウ編集部)

女の子だから経験する不平等とは?

 『世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本』は、9人の女の子の物語を通して、世界中の女の子たちが直面しているジェンダーに基づく暴力や不平等を学べる絵本。10月11日の国際ガールズ・デー2021の直前に日本語版が発売された。

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『世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本』
[文]ジェシカ・ハンフリーズ、ロナ・アンブローズ
[絵]シモーネ・シン
[訳・解説]国際NGOプラン・インターナショナル
[発行]大月書店
本体2600円/B4変形 上製カバー装 32頁フルカラー
ISBN 978-4-272-40569-5 C8736

 大人は女の子と男の子に違う景色を見せている。本書ではそれを、庭園を例にわかりやすく伝えている。庭園の半分(男の子の側)は青々としているが、もう半分(女の子の側)は荒れている。しかしそれは草木や花が悪いのではなく、青々としている方は太陽や水をたっぷり浴びて手入れされてきたのに対して、反対側は、太陽や水が少なく、踏み荒らされ、花が咲いても摘まれてしまったから。

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 本書ではそんな、“女の子だから”見えている景色を、9人のストーリーを通して伝えている。“女の子だから”経験する不条理にはどんなものがあるのか? そしてどのようなきっかけが女の子たちをその状況から脱出させるのか? 各ストーリーに記載された世界各地のわかりやすいデータと共に、当事者である女の子にも、当事者意識を持たせたい男の子にも読んでもらいたい一冊。

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進むジェンダー平等についての教育

 家庭での教育にジェンダー平等を取り入れる親は増えている。

画像: ミラ・クニスとアシュトン・カッチャー夫妻

ミラ・クニスとアシュトン・カッチャー夫妻

 娘と息子がいる俳優のアシュトン・カッチャーミラ・クニス夫妻の家庭では、寝る前の絵本タイムの時に、必ず娘が先に好きな本を読んでもらうという。いつも娘が先なのはレディファーストなどではなく、「世の中には先に機会をもらえないどころか、一切機会をもらえない女の子がいるから」という男女格差の事実を息子にも娘にも分からせるためだと、アシュトンがインスタグラムに投稿した動画で明かした。

 こういった教育をする中で、今回発売された『世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本』のような絵本は素晴らしいガイドブックになる。

 さらに、「女の子だからお手伝いをしなさい」「男の子は組み立てるのが好きだからブロックを与えよう」といった、のちの格差の原点となるジェンダーに基づく差を家庭からなくす、ジェンダー・ニュートラルな子育てをするセレブリティもどんどん増えている。

画像: ゾーイ・サルダナとアーティストの夫マルコ・プレゴの間には子供が3人いる。

ゾーイ・サルダナとアーティストの夫マルコ・プレゴの間には子供が3人いる。

 例えば、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のゾーイ・サルダナは、子供に偏った価値観を与えないために「伝統的に女性に与えられてきた仕事の多くを夫がこなし、テレビを組み立てたり物を直したりっていう“男の仕事”を私がこなすこともある」と米Women’s Healthで語った。さらに、子供に着せる洋服は色や柄からスタイルまでジェンダーで決めないことをモットーとしているセレブは多く、アンジェリーナ・ジョリー、映画『ジュラシック・ワールド』のブライス・ダラス・ハワード、映画『ブックスマート』のオリヴィア・ワイルド監督、映画『トランスフォーマー』のミーガン・フォックスなどがこれを提言している。

 “女の子だから”直面する課題や、“女の子だから”持つ願いにスポットライトを当てる国際ガールズ・デーに合わせて、ぜひ、『世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本』のような本を手に取って家庭でのジェンダー平等教育について考えてみて。(フロントロウ編集部)

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