※この記事には、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と『女王陛下の007』のネタバレが含まれます。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のエンディング
6代目ジェームズ・ボンドであるダニエル・クレイグの最終作である映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のエンディングは、ファンの心を感傷的にした。
ファンからも高い評価を得ることとなった『007』シリーズ25作目の最後は衝撃的ではあるものの、ダニエルによるボンドが終わるという1つの区切りとして、ファンにも受け入れられた。
そんな本作で編集を務めたトム・クロスは、エンディングについて、米IndieWireでこうコメントした。
「迷いは一切なかったし、別の考えもなかった」
その確信はなぜなのだろうか。なぜなら、彼の頭のなかには、つねに1969年公開の『007』シリーズ6作目『女王陛下の007』があったからだそう。
『女王陛下の007』へのオマージュが多い25作目
じつは、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』には『女王陛下の007』へのオマージュが多い。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でボンドがマドレーヌに「We have all the time in the world(時間はいくらでもある)」と話すシーンがあるが、そのセリフは、『女王陛下の007』のエンディングでボンドがテレサに話したセリフと同じ。
また、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の最後に流れたルイ・アームストロングによる楽曲「愛はすべてを越えて(原題:We have all the time in the world)」は、『女王陛下の007』の挿入歌。
そしてトムによると、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』のエンディングもまた、『女王陛下の007』を意識して作られているということだ。
これは、ダニエルのボンドに終わりを告げる効果もあったが、『007』シリーズの歴史を見ても印象的なエンディングとなった。
そのエンディングの捉え方は様々に可能だが、少なくとも、『007』シリーズが新しいチャプターへ進んでいくことは感じられる。
(フロントロウ編集部)