グレタ・トゥーンベリをストライキ初日から追ってきた、映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』のネイサン・グロスマン監督が、グレタという存在について語った。(フロントロウ編集部)

グレタ・トゥーンベリを追ったドキュメンタリー映画

 スウェーデンの国会議事堂前でたった1人で始めたデモが、世界を動かすムーブメントに。

 当時15歳のグレタ・トゥーンベリが毎週金曜日に行なった、気候変動の問題に各国の政府が真剣に取り組むように求めるストライキは「Fridays For Future(未来のための金曜日)」と名づけられ、世界中の若者から支持を集めることに。その後、グレタは国連や世界経済フォーラムなどでスピーチを行ない、2019年には米Time誌が選ぶ「今年の顔」に選出。

 そんなグレタのトゥーンベリ家と知り合いで、ストライキ初日から追っていたドキュメンタリー映画監督のネイサン・グロスマンは、彼女を追い始めた時、その映像が短編映画になるのか、アンソロジーシリーズの1本になるのかは分からなかったという。

 しかしグレタの人を惹きつける魅力、そしてその素顔に迫った映像は、ドキュメンタリー映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』として1本の作品になった。

画像: グレタ・トゥーンベリを追ったドキュメンタリー映画

ネイサン・グロスマンがグレタについて語る

 そして、本作が10月22日に劇場公開となったことにあわせて、グロスマン監督からのインタビューが到着した。

 監督はこの映画を通して観客に感じ取ってほしいことについて、こう語っている。

 「気候変動についてグレタが世界に訴えているのは、世界を白か黒か単純化して考えることも、時には良いということです。不快なことを直視できる方法だから。
 僕がこの映画を見た人に心から願うことは、自分と意見が異なる人々や、問題から目をそらさずに指摘し、自分の意見を堂々と述べる人々に対して、今よりもっとリスペクトを払うことです。何が問題かを明らかにしてくれる人たちを大切にすべきだと思います。アスペルガー症候群で、率直に自分を表現するグレタのような人物が、この活動のアイコンになれるなんて本当に素晴らしいことです。
 なぜ彼女たちが闘っているのかを理解することから始めてほしいと思います。グレタに限らず、メディアでは一面的に見える人々にもさまざまな面があることも伝われば嬉しいです」

さらに、グレタの活動や日々の変化を横で目撃してきた監督は、彼女が世界でムーブメントを生み出したことについて、こう分析した。

画像: ネイサン・グロスマンがグレタについて語る

 「タイミングではないでしょうか。気候変動問題について不満を表現してくれる誰かを、世界がこれまでずっと待っていたんだと思います。何の対策もされず、年月が積み重なったせいで今の現実がある。もうそんな状況とは異質の時代に移りつつある。グレタの生い立ちやアスペルガー症候群であることも相まって、人々は彼女に共感できるのだろうと思います」

 2020年からは新型コロナウイルスのパンデミックが発生したため、世界の状況が激変。科学的助言に従うグレタのチームはデモ活動を中止しているが、コロナ禍で目撃された政府の対応や政治システムについて、監督は厳しい分析をしている。

 「突発的な危機への対応には何十億というユーロやドルが使われる一方で、気候危機への対応は莫大な費用がかかる上に難しいと長年後回しにされていたことに若者たちは気づくでしょう。やはり、政治システムというものは短期間しか機能せず、未来の世代を欺くものだと露呈しました。未来の活動家からは今よりもっと強い反発があるかもしれないですね」

 本作はグレタ本人もすでに鑑賞済みだそうで、「一度、グレタに『映画の中の自分を自分と思えないのではないか、別人のように仕立てあげるのではないか』と言われたことがあります。映画を見て「ちゃんと自分自身がいた」と言われた時は最高の瞬間でした」と、グレタ本人も納得の仕上がりになっていることに自信をのぞかせた監督。

 世界から必要とされるグレタ・トゥーンベリの情熱と素顔に迫った『グレタ ひとりぼっちの挑戦』は、劇場公開中。

(フロントロウ編集部)

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