9.11後のアメリカの闇を暴く『モーリタニアン 黒塗りの記録』
映画『羊たちの沈黙』や『告発の行方』などで知られるジョディ・フォスターが第78回ゴールデン・グローブ賞で助演女優賞を受賞した法廷ドラマ映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』が10月29日より全国公開となる。本作は、実話をもとに、9.11のテロ首謀者の一人として不当に拘禁された青年と、彼を救うべく奔走する弁護士たちの姿が描かれた作品。
【STORY】
2005年、弁護士のナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)は、アフリカのモーリタニア出身のモハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)の弁護を引き受ける。彼は9.11の首謀者の1人として拘束されたが、裁判は一度も開かれておらず、キューバのグアンタナモ収容所で地獄のような投獄生活を何年も送っていた。ナンシーは「不当な拘禁」だとしてアメリカ合衆国を訴える。
時を同じくして、テロへの“正義の鉄槌”を望む政府から米軍に、モハメドゥを死刑判決に処せとの命が下り、スチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が起訴。真相を明らかにして闘うべく、両サイドから綿密な調査が始まる。モハメドゥから届く手紙による“証言”の予測不能な展開に引き込まれていくナンシー。ところが、再三の開示請求でようやく政府から届いた機密書類には、愕然とする供述が記されていた。
このたび、メインキャストを務めたジョディ・フォスターの単独インタビュー映像が到着。
ジョディ・フォスター、弁護士を演じる醍醐味を熱弁
この度解禁された映像では、ナンシー弁護士役のジョディ・フォスターが弁護士を演じる際の醍醐味を語っている。
「その仕組みや複雑さに惹かれる。法律はこの国や世界を形づくるもの。民主主義や法の支配を信じるようになったのは、この映画がきっかけ。民主主義や法の支配は本作の核。私たちが人間らしくいるために、何よりも重要なものだと思う」
ジョディは、実在のモハメドゥ氏とナンシー弁護士とも対面したそうで、「撮影中に2人の姿を見ることができた。とても特別な光景だった。ナンシーはモハメドゥを息子のように愛している。2人の目は互いへの愛情で輝いていた」と役作りの上でも大いに役立ったことを明かした。
さらに本作に込められた教訓にも言及。「この作品に何らかの教訓が込められているとすれば、それは恐怖に基づく衝動の強さだと思う。残念ながらグアンタナモと9.11の時代、アメリカは恐怖に支配されていた。当時この国が下した外交上の重要な決定は、守るべき法や規則ではなく恐怖に基づいて下された」と鋭く指摘した。
また、ピックアップしたコメント以外にも、ケヴィン・マクドナルド監督の手腕や作品に込められたテーマなどが語られ、コメント一つ一つが『モーリタニアン 黒塗りの記録』を深く読み解くための手引書のような役割を果たしている。日本公開直前の予習として是非とも耳を傾けて。
映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』は、10月29日より全国公開。(フロントロウ編集部)