2部門ノミネートされていたドレイクが辞退
日本時間2022年2月1日に、クリプトドットコム・アリーナへと名称を変更するステープルズ・センターで開催される第64回グラミー賞は、11月にノミネートが発表され、ジョン・バティステが11部門、その後を追うようにジャスティン・ビーバーとドージャ・キャット、H.E.R.が8部門でノミネートされている。
音楽界最高峰の栄誉と言われ、毎年多くの人が楽しみにしているグラミー賞には、アルバム『Certified Lover Boy』が大ヒットしたラッパーのドレイクも最優秀ラップ・パフォーマンスと最優秀ラップ・アルバムの2部門でノミネートされていた。
しかし、ノミネート発表から数週間後、なんとドレイクはグラミー賞を辞退すると米Varietyが報じた。グラミー賞は、アーティスト側が主催団体のレコーディング・アカデミーに楽曲を提出することでノミネート対象になる。そのため、グラミー賞にノミネートされたくなければ、楽曲を提出しなければいいだけの話。そんななか今回ドレイクは、楽曲を提供したうえでノミネートされた後に辞退するという異例の行動を取った。
ちなみに、『Certified Lover Boy』は、大ヒットしたにもかかわらず主要4部門にはノミネートされなかったため、主要4部門にはそもそもドレイク側が楽曲を提出していなかったのではないかと囁かれている。
今回のグラミー賞辞退という判断はドレイクと彼のマネジメントによる決定だというが、現時点でその理由は明らかになっていない。しかし、グラミー賞に対するドレイクのこれまでのコメントから察するに、授賞式に対する反発が背景にある可能性がある。
ドレイクとグラミー賞のいざこざは2019年から
ドレイクは2019年に楽曲「ゴッズ・プラン」が最優秀ラップ楽曲賞に輝いた際の受賞スピーチで、受賞やノミネートを逃したアーティストたちに向けて、「もしも、君の歌を一言一句歌ってくれる人たちがいるなら、君はもう、地元のヒーローだ。もしも、普通の仕事をしている人たちが、一生懸命稼いだ金でチケットを買い、雨や雪の中でも君たちのライブを見に来てくれるなら、君たちにはこんな物(トロフィー)は必要ない。約束する。君たちはもう、それだけで勝者だ」などと熱弁するも、アワードを軽視した発言をしたためか、放送上は途中でCMに切りかわりスピーチが強制終了された。
そして2021年のグラミー賞に、ノミネートが確実視されていたザ・ウィークエンドが、フル無視されノミネートされなかった時も「俺たちはもう、こういうアワードと(現実に)インパクトをもたらしている音楽との間にギャップがあることに、毎年いちいちショックを受けるのは、やめるべきなんじゃないか。かつて最上級の表彰の仕方だとされてきた方法は、現代のアーティストたちや今後現れるアーティストたちにとっては、もはや重要では無いものになりつつあるっていう事を認めてさ」とインスタグラムでグラミー賞は時代遅れと言わんばかりの発言をし、両者の溝は深まる一方だった。
今後ドレイクが辞退した部門に、レコーディング・アカデミー側が追加でノミネートを発表するかは不明なものの、この前代未聞のノミネート辞退という騒動は、音楽業界に大きな衝撃を与えている。(フロントロウ編集部)