キャリー=アン・モス、50代でふたたびトリニティーを演じた意味
『マトリックス』3部作でキャリー=アン・モスが演じたトリニティーが、ふたたび帰ってくる。12月17日に公開となった『マトリックス レザレクションズ』は、前3部作からラナ・ウォシャウスキー監督やキアヌ・リーブス、キャリーが続投し、ファンの胸を熱くさせる作品となっている。
そんな『マトリックス』シリーズのキャリーが、フロントロウを含むプレスインタビューで、3部作から約20年が経った今、新作に出演したことへの熱い思いを語った。
第1作目が公開された1999年に32歳だったキャリーは、現在54歳に。40歳になった頃には、オファーされる役柄が“恋愛相手”から“母親”といったものに変化したことを感じたという。
自分を「ハリウッドの年齢差別の被害者」とは思わないようにしていると語るキャリーだが、年齢差別はあるとも認める。そして、その事実があるからこそ、トリニティーを20年ぶりに演じられたことを嬉しく思っているそう。
「多くの場合に、多分、フェアではないことが起こっている。私たちの文化は、男性が年を重ねるのを見るのは楽しむけど、女性が年を重ねるのを見るのは楽しまない。でも、これ(その文化)を乗り越えていく唯一の方法は、リアルでいることだと思っているの。そして、年を重ねるなかで、今回トリニティーを演じる機会を得られて嬉しかったのは、そういった理由もある。
20年前、私と同世代の多くの女性が、トリニティーにインスパイアされたと感じてくれた。他の人々がそう言ってくれていた。彼女たちはトリニティーにエンパワーされたのだから、私は今ふたたび、リアルでありたい。私たちのこれまでの旅路や、女性として生きる意味を称賛するために」
キャリー=アン・モス自身の旅
憧れの的だったトリニティーは、年を重ねても憧れの的。それは外見の話ではなく、その姿勢の話。とはいえ、キャリー自身も、常に強くしなやかにいられてきたわけではないよう。彼女のこの20年の歴史、そして現在の思いとは。
「年齢を重ねるということを、私は完璧に理解しているわけではないし、映画のフラッシュバックのシーンで若い私が出てきた時には、“あぁ、これ覚えてる!”ってなった。そしてその次に、今の自分を見ることになる。自分を完全に受け入れるための旅ね。
私はそのレベルでハリウッドから受け入れてもらえることはない。だから私はハリウッドに受け入れてもらいたいとも思わない。私を受け入れられる人は、私だけ。だからそういった旅は私たち全員にとってユニークなもので、あなたが女優であるか、女性であるか、男性であるかは関係ない。私たちはみんな、死や、若さを失うことに直面する。そういったことに優しくはない文化のなかで。だから私は自分に優しくいることを選ぶし、そう努力している」
自分たちが生きる社会の文化を変えていくことも重要だが、自分を見つめ、抱きしめていくことも大事。
『マトリックス レザレクションズ』では、モーフィアスとエージェント・スミスは新キャストのヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世とジョナサン・グロフが演じたが、トリニティーとネオは年を重ねた。そんな2人の姿は自然で、人生を感じさせる。キャリーのこの思いを知った後に作品を見ると、また違った良さも感じられる。
様々なメッセージが込められたSF超大作『マトリックス レザレクションズ』は、劇場公開中!
(フロントロウ編集部)