ホリー・ハンバーストーンが「Fifth Sister Swap」プロジェクトを立ち上げ
イギリスで最も名誉ある音楽賞であるBRITアワードにて、最も期待される新人に贈られる今年のライジング・スター賞を受賞したシンガーソングライターのホリー・ハンバーストーン。2020年1月にデビューした彼女は、英BBCが毎年期待の新人を選出する名誉ある「Sound Of 2021」リストでも2位に選出されるなど、多くの媒体の“注目の新人リスト”を席巻する、イギリスで最も勢いのある新人アーティストとなっている。
自身の音楽スタイルについて「ダーク・ポップ」と紹介するホリーは、自らの音楽を体現したような、ダークでパンクなファッションでも人気を集めているのだが、デビューから間もなくして大ブレイクを果たしたことで、ファッションにおいて苦労したこともあったという。パンデミックに見舞われたこともあり、リモートで1人で取材に対応しなければいけない状況もあったなかで、毎日の取材などのために着る衣装が足りなくなってしまったのだそう。
そこで、古着好きでもあったホリーが思い立ったのが、自分の古着をファンの古着と交換してもらうことで、新しい衣装を調達するという、「Fifth Sister Swap(フィフス・シスター・スワップ)」と題したユニークなプロジェクトだった。
ホリーは現在、自身のライブ会場に「Fifth Sister Swap」ショップなる場所をもうけ、自身の古着を持参。古着の交換を希望するファンが自分たちの古着を持ち寄り、ホリーの古着と交換するという取り組みを行なっている。
「Fifth Sister Swap」についてホリー・ハンバーストーンに訊いた
先日、フロントロウ編集部は最新シングル「London Is Lonely」をリリースしたタイミングでホリーにインタビューをする機会があったので、直訳すると「5人目の姉妹との交換」を意味する「Fifth Sister Swap」のプロジェクトについて訊いてみた。
ホリーによれば、ファンを自分の姉妹になぞらえ、お互いに着なくなった古着を交換する「Fifth Sister Swap」というプロジェクト名は、自身が4人姉妹であることに由来しているといい、「私には3人の姉妹がいて、私を含め4人なんですけど、みんなすごく似ていて。全員が同じような体型で、同じようなファッションのセンスを持っていてるんです。元々、私たちはチャリティ・ショップ(※)での買い物が大好きなんですが、小さな町生まれなので、チャリティ・ショップでは安い値段ですごく良いものが見つかるんです。それで、私たちはよく一緒にチャリティ・ショップへ行って、一緒に古着とかを買っていました」と、服の趣味が似ている姉妹同士でよく服を買いに行ったり、交換しあったりしていたことがヒントになったという。
※個人が寄付した中古品が買えるお店。売上はチャリティに寄付される。掘り出し物が安く買える場合もあるためイギリスでは人気。
「そんな中で、私のキャリアが上昇し始めたことで、色んな服を手に入れる必要が出てきたんですが、そんなに早く服を調達することはできなくて。というのも、毎日違ったインタビューを受けたり違ったフォトシュートに臨んだりするので、毎日違うルックが必要だったんです」とホリー。
「自分の服を資源にすれば、サステナブルかつ早く手に入れられるんじゃないかって気がつきました。それで、たくさん着たのでもう着なくなった古いフーディーの写真をアップしてみたんです。まだ着られるから、他の人に楽しんでもらえたらと思って。それをインスタグラムにアップして、『誰か古着と交換してくれる人はいますか?』って訊いてみました。そしたら、『交換したいです!』っていうDMが何通か届いて。それで、その中から自分が気に入ったものを選んで、交換したんです」と、試しに自分が着なくなったフーディーをSNSにアップしてみたところ、それがファンの古着との交換に繋がったことが「Fifth Sister Swap」の始まりだったと語った。
「Fifth Sister Swap」の始まりとなった実際の投稿。
デビュー直後にパンデミックに見舞われてしまったことで、しばらくはファンと交流できなかったというホリーだが、そうした状況の中で、「Fifth Sister Swap」はファンとコミュニケーションを取ることのできる大切な手段になったという。「やがてそれが、私の楽しみの1つになっていったんです。パンデミックの最中ということもあり、ショーもできなければ、ファンと繋がることもできなかった時期で。この取り組みをすることで、ファンの人たちとの、ソーシャルメディア以上のパーソナルな繋がりを感じることができました」。
このプロジェクトは、お互いに使わなくなった古着を交換することで、服を再利用できる地球に優しいサステナブルな取り組みになっているだけでなく、ファンにとっては、憧れのアーティストの着ていた服を自分も着ることができるという、特別な機会にもなっている。
ホリーはフロントロウ編集部に、「私はサステナブルなファッションを重視していて、エシカルかつ再利用できる方法で服を入手するようにしています」とも教えてくれたが、その姿勢は徹底しており、ライブ会場には自分のグッズは置かずに、その代わりに「Fifth Sister Swap」ショップを設置しているという。
「すごく楽しくやれていますよ」と明かしたホリーは、今後もこのプロジェクトは継続していくつもりだとして、「この取り組みがもっと大きくなって、続いていったら良いなと思っています」と語った。(フロントロウ編集部)