ジェーン・カンピオン監督がアカデミー賞史上初を達成
どの業界でも女性の活躍が阻まれがちで、正当に評価されづらいことが問題になっている。エンタメ業界も同様で、アカデミー賞でも、演技部門ではなく制作に関する部門で女性のノミネート・受賞が少ないことは問題になってきた。
一方で、少しずつではあるものの、2021年のアカデミー賞ではクロエ・ジャオ監督とエメラルド・フェネル監督の2人が監督賞にノミネートされ、ジャオ監督が女性として史上2人目の受賞を果たした。
そして今年2022年は、巨匠ジェーン・カンピオン監督が新たな功績を達成。女性監督として史上初の、監督賞に2度目となるノミネーションを果たした。
アカデミー賞撮影賞は現在まで女性の受賞がない
彼女が手掛けた映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は非常に高い評価を得ており、作品賞へのノミネートのほか、主演のベネディクト・カンバーバッチ、助演のキルスティン・ダンスト、ジェシー・プレモンス、コディ・スミット=マクフィーもノミネートされている。
さらに、本作の撮影監督であるアリ・ウェグナーが撮影賞にノミネートされ、注目を集めている。なぜなら、アカデミー賞では93年の歴史のなかで、唯一撮影賞で女性の受賞が一度もないから。
アカデミー賞撮影賞では、初めて女性の撮影監督がノミネートされたのも非常に最近のことで、2018年に『マッドバウンド 哀しき友情』の撮影監督であるレイチェル・モリソンが史上初のノミネートを果たした。
サンディエゴ州立大学のレポートによると、2021年の興行成績トップ250の映画作品のうち、女性の撮影監督はたったの6%だった。つまり、単純計算では撮影監督が250人いたとして、そのうち女性は15人だけだったということになる。
女性の撮影監督の評価について、アリは米CNNのインタビューで、「もうそろそろ変わると良いですね」と答えた。
女性の撮影監督がアカデミー賞受賞を果たしていないことには、女性が撮影監督としてキャリアを築きづらいことや、その手腕が正当に評価されていないことなど、様々な要因が考えられる。
俳優のケイト・ブランシェットは過去に、すべての部門の制作スタッフに女性が少ないことを指摘しており、2017年に起こったMeToo運動は、その状況の改善にも影響を与えたと語っていた。
「新しいセットに行くときはいつも写真を撮るようにしています。ただ自分のためにしていることですよ。カメラに映らない裏方の人々の写真です。いくつかのセットでは、私は、35人の男性の中にいるたった1人の女性であることに気がつきました。しかし、それも変わってきていますね。裏方にもかなり多くの女性が増えてきているのが分かります。それは素晴らしいことです」
アリが撮影賞を受賞し、ついにアカデミー賞から“女性が受賞したことのない賞”がゼロになるか。注目が集まる。
(フロントロウ編集部)