ケイト・ブランシェットが、MeTooやTime’sUPムーブメントの良い影響として、女性間での対立が少なくなったことがあると語った。(フロントロウ編集部)

ケイト・ブランシェットが感じるMeToo後の変化

 2017年に、ハリウッドの超大物プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタインによる性暴力を数十名が告発したことがきっかけとなり、多くの女性が、自分の経験した被害を「MeToo」のスローガンとともに告発。ハリウッドに蔓延する性暴力に声をあげる「Time’sUP」ムーブメントが発生した。

 ムーブメントが起こり、社会に早急で適切な変化が求められるようになってもう3年。日本では、ケイト様、はたまた『オーシャンズ8』からの役名を取ってルー様と呼ばれ、かっこ良い女性として人気を博すケイト・ブランシェットが、英Hello!のインタビューでMeTooの功績を称えた。

画像: ケイト・ブランシェットが感じるMeToo後の変化

 「多くの変化があったことに気がつきましたね。私達の業界では、女性たちは長すぎる期間、分断されてきました。しかしその隔たりはどんどん狭まってきていますね」


女性の敵は女性ではない

 MeTooが成し遂げたことと聞いて想像しやすいのは、女性の労働環境が意識されるようになったことや、女性が性暴力の被害を告発しやすくなったことなどを思い浮かべやすい。しかしケイトは、ムーブメントによって同じ女性同士の対立が少なくなったことに着目する。

 「女の敵は女」と言って女性の対立を煽る問題は、ショービズの世界で活躍する他の著名人も声をあげてきた。シンガーのマライア・キャリーは、音楽業界について、「もっとも変わらなければいけないことは、女性たちを対抗させようとするのを止めること」と話し、リリー・アレンは、女性同士の対立が煽られることは、「男性が最後の抵抗で『お互いに嫌な気持ちにさせてやろう』ってだけだよ」とバッサリ言い切っている。

画像: マライア・キャリー(左)とリリー・アレン(右)

マライア・キャリー(左)とリリー・アレン(右)

 また、職場で女性同士が対立する際には、社会が男性に独占されていることが影響しているという指摘もある。経済学者のロビン・J・エリー氏が1980年代に行なった調査では、女性が少ない職場では、女性であるだけで昇進できる可能性が低く、そのため数少ない昇進のチャンスのために女性が争わなければならないという結論を出した。女性同士が対立する原因となりえる職場だけれど、その環境の変化に関してもケイトは語っている。

 「新しいセットに行くときはいつも写真を撮るようにしています。ただ自分のためにしていることですよ。カメラに映らない裏方の人々の写真です。いくつかのセットでは、私は、35人の男性の中にいるたった1人の女性であることに気がつきました。『これを20年もやってきた。なのにこの構造はまだ変わっていない』と思っていました。しかし、それも変わってきていますね。裏方にもかなり多くの女性が増えてきているのが分かります。それは素晴らしいことです。そしてそれは映画業界にかぎったことではないでしょう。女性は、過去に直面したバリアや困難、そして失敗の瞬間についてますますオープンになっています」


ケイト・ブランシェット、すべての社会のために行動

 MeTooムーブメントの元凶となったハーヴェイに対しては、2件で禁固23年が言い渡され、さらに4つの罪に問われている。ハリウッドでは変化が出てきているけれど、このようなことが起こっているのは映画業界だけではない。ケイトは力強く、こう続けた。

画像: ケイト・ブランシェット、すべての社会のために行動

 「ワインスタインの件や、現在起こっている多くの件に巻き込まれた人達が、このようなことが私達の業界でだけ起こっているとは思っていないと思います。すべての業界で、権力による虐待は起こっています。性的なものも、そうでないものも。しかし、誰も復讐を望んではいません。正義と、真摯な変化を望んでいるのです。私達は進み続けなければなりません」

(フロントロウ編集部)

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