マーティン・スコセッシ監督がきっかけの“マーベル映画はシネマじゃない”論争
映画『タクシードライバー』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などを監督したことで知られる映画界の巨匠マーティン・スコセッシが、2019年に「あれ(マーベル映画)はシネマだとは思わない。正直、マーベル映画はテーマパークのような感じで、感情的・心理的体験を他の人に伝えようとしている人間の映画ではない」と批判したことをきっかけに、映画界を巻き込んだ議論に発展した“マーベル映画はシネマか?”論争。
スコセッシ監督の意見には、映画『ゴッド・ファーザー』のフランシス・フォード・コッポラ監督や、映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケン・ローチ監督といった巨匠が賛同した一方で、MCUに携わってきた俳優たちはもちろん、MCU映画を擁護。最近にも、スパイダーマン役のトム・ホランドが「どちらも本物のアートだと思う」と持論を述べ、スコセッシ監督の見解に異論を唱えた。
サミュエル・L・ジャクソンが“マーベル映画はシネマじゃない”論争にコメント
MCUでニック・フューリーを演じているサミュエル・L・ジャクソンもスコセッシ監督の見解に反論した1人で、2019年当時、「映画は映画。誰もがマーティンの映画を好きだというわけでもないし、それぞれに意見があっていいと思います。それで誰かが映画作りをやめるきっかけにもならないですし」と、どちらも映画であることに変わりはないと米Varietyに語っていた。
そして今回、サミュエルが英The Timesとのインタビューで改めてこの議論にコメント。「すべての映画は正当なものですよ」と、すべての映画が映画だとする当時の持論を改めて強調した上で、「心を動かされるために映画館へ行く人たちもいますし、スーパーヒーローが好きな人たちもいます」と、映画ファンが好むものは一人一人違うはずだとした。
一方で、サミュエルは、MCUという世界的に商業的に成功を収めたシリーズでニック・フューリーという大役を演じていることへの自負から、「もし誰かの方がより多くの観客を集めていたとしたら、自分たちの観客はそこまで幅広くないという意味でしかありません。キャリアで成功を収めた人たちの中にも、誰からもその人のキャラクターのセリフを引用されてない人もいます。私のセリフはTシャツになっていますがね」ともコメント。
世界的に成功した俳優でも、代表的なセリフを持っていないかもしれない俳優がいる中で、自分はそのセリフがグッズになるほどだとして、MCUに出演していることへの誇りを皮肉まじりに示した。(フロントロウ編集部)