日本でシュワちゃんの愛称で親しまれる俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが、ロシア国民に向けて約9分間の動画を公開し、ロシア政府にウクライナでの戦争を終わらせるよう求め、国家のプロパガンダを非難した。(フロントロウ編集部)

シュワちゃんがロシア国民に向けた約9分間の動画を公開

 2003年から2011年までカリフォルニア州知事を務めていた俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが、自身のSNSでロシアの人々に向けたビデオメッセージを公開した。

 アーノルドは米ATTNの協力のもと撮影した動画のなかで、「あなたたちの政府が、これはウクライナを非ナチ化するための戦争だと言っているのは知っています。ウクライナを非ナチ化する?それは真実ではありません。ウクライナは、ユダヤ人の大統領がいる国です。ユダヤ人の大統領で、なおかつ彼の祖父の3人の兄弟は全員ナチスに殺されました」と言うと、「この戦争はウクライナが始めたのではありません。ナショナリストでもナチスでもありません。クレムリンの権力者たちがこの戦争を始めたのです」と続けた。

 また、今回の動画でアーノルドは珍しくナチスであった父グスタフ・シュワルツェネッガーについても触れ、父親が自国の政府から吹き込まれた嘘や、それが後年、父親に与えた影響について語った。

 「私の父はレニングラードで負傷し、彼が所属していたナチス軍は、偉大な都市とその勇敢な人々に悪質な害を及ぼしました。 父がレニングラードに着いたとき、彼は政府の嘘に一喜一憂していました。そして、レニングラードを去るとき、彼は肉体的にも精神的にも壊れていました。彼は残りの人生を痛みに苦しみながら生きたんです。背骨の骨折による痛み、彼にとって恐ろしい時代を思い出させる榴散弾による痛み、そして罪悪感からくる痛みです。この放送を聞いているロシアの兵士たちへ。みなさんは、私が話している真実の多くをすでに知っています。自分の目で見てきたはずです。私は、あなたたちに私の父のように壊れてほしくないのです」

 さらに、ロシアの独立系メディアに対する検閲や、国民を偽って戦争に送り込む戦術についても言及したアーノルドは、ロシアのウラジミール・プーチン大統領に「この戦争を始めたのはあなたで、この戦争を先導しているのもあなたで、この戦争を終わらせることができるのもあなたです」と直接語りかけると、最後にウクライナ戦争に反対するために投獄される危険を冒して街頭に出たロシアのデモ参加者たちに、「世界があなたたちの勇気を見ました。私たちは、あなたたちがその勇気ある行動の結果、苦しんでいることを知っています。それぞれ逮捕され、投獄され、殴られたことがあるでしょう。あなたたちは私にとって新たなヒーローです。あなたたちはユーリ・ウラソフ(※アーノルドが憧れていたロシアの重量挙げ選手)のような強さを持っています。あなたたちはロシアの真の心を持っています」とメッセージを送った。(フロントロウ編集部)

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