ウィル・スミスがクリス・ロックをビンタ
現地時間2022年3月27日(日本時間3月28日)に開催されている第94回アカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミスが、自分の妻であるジェイダ・ピンケット・スミスをジョークにしたプレゼンターのクリス・ロックに激怒し、壇上へ歩いて行ってビンタをくらわせる出来事が発生した。
VIA JAPANESE TELEVISION: The uncensored exchange between Will Smith and Chris Rock pic.twitter.com/j0Z184ZyXa
— Timothy Burke (@bubbaprog) March 28, 2022
この時、クリスはドキュメンタリー部門のプレゼンターとして壇上に立っていたのだが、受賞作品を発表する前に少しトーク。そのなかで彼は、ウィルの妻で俳優のジェイダに向かって、「ジェイダ、愛してるよ。『G.I.ジェーン2』が待ちきれない」とジョークを飛ばした。
1997年に公開された映画『G.I.ジェーン』はリドリー・スコット監督による作品で、デミ・ムーアが主演。そしてデミは本作のなかで坊主姿を見せており、よってクリスのジョークは、ジェイダが昨年2021年に髪型を坊主にしたことをネタにしたもの。
しかし、ジェイダが坊主にした理由は脱毛症に悩んでの結果なのだ。
ジェイダは脱毛症と診断されたことを2018年に告白しており、最初に毛が抜け始めたときは「人生の中で、恐怖で震えていた瞬間の一つでした」と、正直な心のうちを明かしている。2016年に黒人女性5,594人を対象にした調査では、約半数の女性が脱毛を経験したと回答している。
妻の外見および病気をジョークにされたことに激怒したウィルは、式の最中であっても壇上へ向かい、クリスを全力でビンタした。その際にウィルは、「お前のファッキンな口から妻の名前を出すな」と、放送禁止用語であるFワードを使用して怒鳴ったという。
また、スコット監督は多くの女性差別や女性に対するステレオタイプに異議の声をあげる作品を撮ってきたことで知られ、『G.I.ジェーン』もそのうちの1つと言える。作品のなかでは、主人公である女性大尉のジョーダン・オニールが髪型を坊主にしたことで、男性社会のなかでバカにされるシーンもあり、クリスのジョークは名前を出した作品への理解も足りていないと言える。
授賞式を見ていた視聴者のなかには、この出来事は脚本のあるものだと思った視聴者も多かったほどで、実際に起こった出来事としては衝撃のものだった。
Lol I thought my tv lagged, what just happened with Will Smith & Chris Rock?!? #Oscars pic.twitter.com/aW9FCLuTDH
— Hannah (@HannahRamesar) March 28, 2022
What just happened? Was that real? Did will Smith really swing a punch at Chris rock?? #oscars
— Christine Galea (@chrisgalea) March 28, 2022
しかし、ジョークはノリで人をバカにすれば良いというものではないというのは確かであり、その内容にはテーマやターゲットを絞る能力や、批判、皮肉、バカにすること、といった様々な要素を見極めるバランス感覚が必要とされる。
ジョークにして良いことと、すべきではないことの境界線がどこにあるかの判断は難しく、人によっても違うが、少なくともクリスのジョークは質の良いジョークではなかっただろう。
(フロントロウ編集部)