『X-ファイル』でダナ・スカリーを演じたジリアン・アンダーソンが、90年代の撮影で拒否したことを明かした。(フロントロウ編集部)

ダナ・スカリーは堂々と歩く

 1993年から2002年にかけて放送され、2016年から2018年にも2シーズンが復活したドラマ『X-ファイル』では、ジリアン・アンダーソンが演じるダナ・スカリーが活躍。賢く優秀なFBI捜査官として様々な事件を捜査する彼女の姿に憧れた視聴者は多い。

 とはいえ、本作が制作されたのは今から約30年前のことであり、ジリアンはスカリーというキャラクターについて、「『お~。これはフェミニストなキャラクターだね』というほど明確な考えはなかったです。『これまでテレビで見たことがない女性だね。そしてとても面白い』という感じだったと思います」と、米Varietyのインタビューで振り返る。

 とはいえ、新しいタイプの女性キャラクターが描かれることは非常に重要。そしてジリアンはそんなスカリーを見事に演じきった。さらにジリアンは、彼女を演じるうえで、脚本に書かれたとおりに、または現場で指示されたとおりに従うことを拒否したこともあったという。なぜなら、その段階ではまだ女性蔑視な描かれ方があったからだそう。

画像: ダナ・スカリーは堂々と歩く

 「調査対象の人々の元へ歩いて行くときは、(モルダー役のデイヴィッド・ドゥカヴニーの)後ろを歩くことを期待されていました。私は抵抗したことはいくつもありますよ」

 女性は男性の3歩後ろを歩くべき。そんな言い回しは日本語でもある。そういった男性優位の描かれ方について些細なものだと感じる人もいるかもしれないが、そういった小さな表現が積み重なって女性に対する一方的なイメージが作られ、女性たちの可能性を狭め、生きづらさを生み出す。

 ジリアンのような女性たちが闘ってきてくれた過去が今に繋がっており、その努力には感謝を抱かざるをえない。

ジリアンが闘った「賃金格差」

 また、ジリアンはこのほかにも、他のキャストとの給与差に対して闘った過去を明かしている。『X-ファイル』がスタートした時にはジリアンは新人俳優だったが、2016年にシリーズが復活した時には、様々な作品でキャリアを積んだ俳優に成長していた。

 しかし、制作局のフォックスが彼女にオファーしたギャラの金額は、共演者がオファーされた金額の10分の1程度だったという。そして、彼女が声をあげたのには、後輩の若い女性俳優たちへの思いもあったそう。ジリアンは米THRのインタビューで、こう語っている

 「『X-ファイル』においては、彼らは私をクビにはできないでしょう。リスクは高くない。私は断固として譲らなかったけど、それはリスクがあまりなかったからではなくて、もし私がクビになったら、誰かが問題にしてくれるだろうから。それは、働こうとしている若い女性が、横暴なボスに賃金の値上げを求めるのとは大きく違う」

 俳優として演じるキャラクターに責任を持ち、キャリアを積んでからは、業界の問題にも声をあげたジリアン。その闘いに勇気づけられる女性は多い。

(フロントロウ編集部)

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