サマンサ役のキム・キャトラルが沈黙を破る
1998年から2004年にかけて米HBOで計6シーズンが放送されて社会現象的ヒットを記録し、その後2008年に映画版1作目が、2010年に映画版の2作目が公開された『セックス・アンド・ザ・シティ』(以下『SATC』)。サラ・ジェシカ・パーカー演じる主人公でコラムニストのキャリー・ブラッドショーと、その親友であるサマンサ、シャーロット、ミランダの4人がニューヨークを舞台に恋に仕事に奮闘する物語は、そのスタイリッシュで等身大のファッションも話題となり、世界中の女性たちのバイブルとなった。
劇中では切っても切れない強い絆を持った仲良し4人組を演じたサラたちだが、シャーロット役のクリスティン・デイヴィス、ミランダ役のシンシア・ニクソンは、現在日本でもU-NEXTで独占配信中の続編ドラマ『AND JUST LIKETHAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』に出演したものの、ファンからの人気が高いサマンサを演じたキム・キャトラルはカムバックせず。
サラとの不仲が何度も報じられたキムは、続編ドラマの前に制作が計画されていた映画版第3弾の出演に関しても頑なに首を縦に振らず、結果として3作目そのものの制作自体が白紙となったと伝えられた。
キムは、2017年に出演した英iTVのトーク番組『ライフ・ストーリーズ』で、「私がサマンサを演じることは今後一切無いと保証します。私にとっては、もうあの役は終わりなんです。後悔も無く、もう終わったものなんです」と断言。
以来、公の場では沈黙を貫いてきたが、米Varietyとの新たなインタビューで、映画版3作目と続編である『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』に出演しなかった“本当の理由”に言及した。
続編ドラマに出演しなかった理由
キムいわく、『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』に関しては出演を打診されてもいなかったそう。同シリーズの制作について知ったのは、世間の大半の人たちと同じく、SNSを通してだったという。
しかし、自身に出演オファーが来なかったことにはさほど驚かなかったそう。というのも、映画版3作目に出演しないことを決めた時点で、製作陣にはサマンサ役を続投するつもりはないという意志をはっきりと伝えてあったから。
そして、キムが映画版3作目への出演を拒んだ背景には、彼女なりの“サマンサ愛”があった。
自分が考える“サマンサ像”からどんどんかけ離れていった
『SATC』のドラマ版への出演契約を結んだ当初、同シリーズがシングル女性をポジティブに描いた物語だという点がとても気に入っていたというキム。しかし、シーズンが進むごとに、自身が演じるサマンサが、自分が考える“自立した女性像”からはどんどんかけ離れていってしまうように感じたという。
「自分が単なるクーガー(若い男性ばかりを好んでつき合う女性)を演じるためにキャスティングされているような気がしたんです。それはほかの要素と比べてあまりポジティブなこととは思えませんでした」と話したキム。サマンサの「必死ではなく、自由気ままに恋愛をするところが好きだったのに」とも振り返った。
映画版3作目の突飛な脚本に納得がいかず
キムいわく、映画版3作目の脚本には、サマンサのもとにミランダの14歳の息子から誤って性器の写真が送られて来るという展開が含まれていたそう。この筋書きは、キムにとっては“サマンサらしい”とは到底思えず、「心が痛んだ」と話す。
未成年から不適切な写真が届くという話よりも、2008年のリーマンショックの影響で経済的にダメージを負ったサマンサが、自身のPR会社を手放すことになってしまうという展開はどうかと制作陣に提案したものの、受け入れられず。
キムは、「あのシナリオは、私のマネージャーの思いつきから広がったものでしたが、素晴らしいアイディアだと思いました。未成年の男の子の…よりも、ね」と皮肉っぽくコメントしたほか、映画を作るたびに同じことを繰り返しているようで、「すべては成長するべきなのに。そうでないなら死んだも同然ですよね」と、同シリーズに関わっていても、これ以上進歩はないと感じたことを示唆した。
続編ドラマでのサマンサの“扱い”は「違う」
自身が『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』でサマンサ役を演じることは「断じてない」とあらためて明言したキム。
同シリーズの1話目では、キャリーたちと疎遠になったサマンサが“ニューヨークを離れ、新天地のロンドンで元気にやっている”という設定が明かされる。
本編は観ていないものの、この設定について感想を求められたキムは「私が演じたサマンサとは違うなと感じました」とコメント。たくさんの『SATC』ファンたちがサマンサの不在を嘆いていることについては、「役者をやっているうえで、恋しいと思ってもらえるのは最高の賛辞ですよね」と話した。(フロントロウ編集部)