アディダスによる、様々な女性の胸の写真を使った広告が、イギリスで禁止となった。(フロントロウ編集部)

アディダス、議論を呼んだスポーツブラの広告

 アディダスが今年2月に発表して議論を呼んでいたスポーツブラの広告が、イギリスで禁止となった。

 この広告では、様々な形、大きさ、体型の女性の胸が写し出され、「すべての形、サイズの女性の胸がサポートされ、快適感を得るべきです。それこそが、私たちの新しいスポーツブラに43のスタイルがある理由です。これにより、すべての人が正しくフィットするものを見つけられます」という言葉が添えられた。

 女性の胸の形は様々であり、それぞれに合うスポーツブラを見つけてほしいというアディダスの意図は明確とはいえ、女性の胸だけを写した広告は様々な議論を呼んだ。

 広告に写された女性の胸はリアルなものであり、理想化することや、アディダス側に性的に描く意図がないことはうかがえる。そして、これが男性の胸であればほとんど問題になっていなかっただろう。女性の胸ばかりが「性的な物」扱いされることは問題だが、一方で、現在では女性の胸は性的な物とされているため、そのつもりがなくても勝手に性的に搾取されることもあり、ポジティブな表現であっても注意は必要。

 そのため、からだの多様性を示したい、女性の胸だからって性的なものであるべきではない、というアディダスの思いを支持する声もあった一方で、やり方が間違っているという意見もありと、賛否両論を呼んだ。

画像: アディダス、議論を呼んだスポーツブラの広告

 また、この広告はスポーツブラの広告だが、スポーツブラ自体の画像はなく、商品の画像のほうが見たかったという意見は少なくなかった。そして、包括性をテーマにしたアディダスだが、すべての商品で幅広いサイズ展開が行なわれているわけではないことへの批判もあった。イギリス広告基準局(ASA)によると、広告について24の訴えが寄せられ、「女性を性的なモノとし、女性を体のパーツに変換している」という指摘もあったという。

 また今回の議論は、男性器にも様々なサイズや形があるはずだが、男性向け商品の開発や広告で女性と同様のことが行なわれないのはなぜかという議題にもスポットライトを当てる。

イギリスで広告が禁止に、その理由は?

 そしてイギリスのASAは先日、該当の広告を禁止にすることを決定。そのことについてASAは、こうコメントしている。

 「(この広告では)女性たちを露骨に性的に描いたり、性的なモノとして描いているとは考えていません。しかし裸の胸が描かれていることは明らかなヌードであるとは考えています。該当の広告においては胸が中心となっており、ブラについての強調は少なく、添えられた文章で言及されているだけです」

 さらにASAは、広告が子供の目に入る場所でも展示・表示されていたことを指摘。広告画像を使用したツイートは「(アディダスの)普段のコンテンツを踏まえていない」とし、そのため、「より広い不快感を引きおこしかねない」とした。ASAはイギリスのアディダスに対して、「不快感を引き起こさず、責任をもってターゲット層を考えた広告にするように」と注意したとしている。

 これを受けてアディダスは、「ASAのルールは、この作品がEメールやバナー広告といったものに使われていることに関してであり、作品自体や、私たちが誇りに思う(作品に込められた)メッセージについてではないということを明確にしておくことは重要です」とコメントしている。

(フロントロウ編集部)

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