アメリカ海軍戦闘機兵器学校を舞台にした『トップガン』
トム・クルーズ主演の1986年の映画『トップガン』、そして36年の時を経て制作された続編の『トップガン マーヴェリック』は、「アメリカ海軍戦闘機兵器学校」を舞台に、選ばれし戦闘機パイロットの精鋭たちの物語を描く。
タイトルのトップガンはアメリカ海軍戦闘機兵器学校の通称のこと。ベトナム戦争中の1969年に創設されたトップガンの目的は、戦闘機同士の空中戦であるドッグファイトを「生き残るだけでなく、勝利することを航空機乗組員に教える」ことだという。
自身の著書『TOPGUN's Top 10: Leadership Lessons from the Cockpit』のなかで、トップガンについてそう綴ったのは、2017年から2018年にかけてアメリカ国防長官のスピーチライターを務めたガイ・スノッドグラス。そして、トップガンの卒業生であり、教官でもあった彼によると、映画『トップガン』はトップガンの訓練生たちの間でも大人気の作品。
だからこそ、思わぬルールも誕生してしまったよう。なんと、トップガンで『トップガン』のセリフを言うと、罰金5ドルを(約600円)を払わなくてはいけない!
『トップガン』ルール誕生の理由はプロ意識
『トップガン』がそれだけ愛されているという証明でもあるセリフの引用は、罰金を設定してまで禁止するようなことではないと感じる人もいるかもしれないが、そこにはこんな理由があるという。
「あの映画は私たちの文化にとても染み込んでいます。しかしトップガンというのは非常にプロフェッショナルな組織であり、自分がトップであるということを強調したいものなのです。プロフェッショナル意識、良きリーダーシップが求められる組織であるため、映画を引用することでトップガンをジョークの対象としてはならない」
「なので、私たちのルールでは、もし誰かが映画を過度に引用し、例えばセリフをそのまま言ったり、それに近い引用をしたりした場合は、自動的に罰金が5ドル科されます。それは強制です。そして直ちに支払わなくてはなりません」
仲間うちでセリフを引用する時には、少なからず笑いが起こる状況であるとは想像がつく。プロ意識を伸ばすなかで、トップガンをネタにしたジョークを言うのは適切ではないと考えられるのも納得。
とはいえ、大ヒット映画である『トップガン』の影響力は、5ドル程度では防げるものではないよう。スノッドグラス氏は米Business Insiderのインタビューで、「全員が罰金を払っていますよ。映画は私たちの飛行文化のなかに本当に染みついていますからね」と話した。
(フロントロウ編集部)