『ブラック・フォン』のクライマックスの撮影では、あるハプニングが起こっていたよう。(フロントロウ編集部)

 ※この記事には、映画『ブラック・フォン』のネタバレが含まれます。

『ブラック・フォン』撮影で急な変更

 子どもの連続失踪事件が相次ぐ街で、1人の男に誘拐された少年フィニー。気がつくと地下室に閉じ込められており、部屋には断線した黒電話があった。しかし、繋がっていないはずの黒電話が鳴り始める…。一方、フィニーの妹であるグウェンは兄の失踪に関する夢を見始める。

 ホラー映画だがミステリー性もあり、ホラー映画好き以外からも注目の映画『ブラック・フォン』は、スコット・デリクソン監督による最新作。主演はイーサン・ホークで、2人は2012年の映画『フッテージ』でもタッグを組んだ。『フッテージ』は、2020年にイギリスのroadbandchoicesが心拍数の速さによって決定した“最も怖いホラー映画”に選ばれており、そんな2人がふたたびホラー作品を制作したとなれば、見逃せない。

 デリクソン監督は米THRのインタビューで、「良い監督というのは、この映画は本当はどうなりたいのかということを聞くために、いつでもアンテナを張ってると思います。それをすると、自分の器以上の判断ができることがある」と語っており、自分の好みよりも、作品としてどのような展開が描かれるべきかを考えて作品制作を進めていると話す。

 だからこそ、『ブラック・フォン』のクライマックスでも予定変更となったシーンがあった。それは、過去の被害者であり、フィニーと電話でつながっていたロビンが幽霊となって姿を現すところ。

 じつはこのシーンで、当初はロビンは姿を現さずに電話を通じてフィニーと話す予定だったという。しかも、監督が変更を決断したのは撮影の少し前だったそうで、ロビン役のMiguel Cazarez Moraはすでに飛行機で家へ帰っていた。そのため、また飛行機で戻ってきてもらうことに!

 「(当初の)脚本では、ロビンは部屋にはいなかったんです。ただ電話だけで。撮影の1日か2日前に、どこからともなく、そのアイディアが私を襲いました。『あ~。観客はあの子をもう一度見たいだろうな。彼をもう一度見なきゃ。彼をもう一度見られないなら、正しい(展開の)感じがしないだろう』と。そして『あの子はどこにいる?』と聞いたら、スタッフが『さっき彼を飛行機で帰したところですよ』という感じで。『彼に戻ってこさせて。飛行機に乗せて戻ってこさせるんだ』となりましたね」

 そんな監督のこだわりがつまったシーンはワンカットで撮影したそうで、本作における最高のシーンの1つだと思っているという。

(フロントロウ編集部)

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