ディズニー・チャンネルの人気シリーズ『レイブンのウチはチョー大変!』の米放送で、同チャンネルの実写作品としては初めてだとされるトランスジェンダーのキャラクターが登場した。(フロントロウ編集部)

『レイブンのウチはチョー大変!』にトランスキャラが登場

 エミー賞ノミネート経験もある大人気ドラマ『レイブン 見えちゃってチョー大変!』の続編『レイブンのウチはチョー大変!』シーズン5第15話に、トランスジェンダーのインフルエンサーであるニッキーというキャラクターが登場。制作陣によると、このキャラクターはチャンネルの実写作品としては初のトランスジェンダーのキャラクターだと思われるという。

 7月8日の米放送にあたり、同エピソードの脚本を担当したノリ・リードと、ニッキー役を演じたトランスジェンダーの俳優ジュリアーナ・ジョエルが声明を発表。その言葉からは、テレビで多様性が反映されることのインパクトが伝わった。

 ノリはインスタグラムでこうコメント。

「私はケンタッキー州のクリスチャン郡で育ちました。この田舎町は、私のようなクィアであることを隠していたアジア系の子どもを歓迎する場所ではありませんでした。アメリカ中の多くの子供たちと同じように、私は学校から帰ってきて、ディズニー・チャンネルをつけるのが大好きでした。

若いクィアの私は、成長するなかで自分自身の経験やアイデンティティがテレビ画面に映し出されるのを見ることはありませんでした。これは残念ながら、非常に明確なメッセージとなりました。“この世界にあなたは適していない”という。

今、アメリカの田舎に住む若いクィアの人々がディズニー・チャンネルをつけたときに、彼らが共感できる面白くてニュアンスのあるトランスのキャラクターを見られることが私個人にとって何を意味するのか、十分に言葉で表現することはできません。私は、彼らに非常に明確なメッセージが伝わるように心の中で祈っています。“この世界にはあなたの居場所はあり、あなたも一員として含まれている”という」

 そして演じたジュリアーナもインスタグラムでLGBTQ+である自身の経験を語り、ノリの言葉に同調した。

「フロリダで育った私は他の多くの子供たちと同じように、ディズニー・チャンネル、とくに『レイブン 見えちゃってチョー大変!』に出演することを夢見ました。大好きな番組で、レイブン・バクスターは私の心の親友でした。それは、私が自分の中で経験していることから逃避するためのものでした。

典型的なプエルトリコ人家庭の出身の私は、自分のような人間が俳優になれるとは思っていなかったし、その世界に生まれなければならないと思っていました。俳優になれた後は、もうディズニーに出演するほど若くはない、そのうえ私はトランスだ! と自分に言い聞かせました。ディズニー・チャンネルでトランスジェンダーの俳優やキャラクターを見たことがなかったですから。一度も。

初めてセットに入ったとき、言うまでもなく楽屋で泣きました。大好きな番組の(新しい)バージョンで子どもの頃の夢を叶えられたこともそうですが、本物の自分として、そしてトランスであることを公言しているキャラクターとしてその夢がかなえられることを実感した瞬間でした。でも今回の経験は、番組に出演すること以上の意味があったんです。

メディアや社会における反トランスの憎悪や論調がある中で、これは勝利でした。世界の多くの人々が私と私のコミュニティを抹殺しようとする中で、私は自分の夢と居場所を主張しました。そして今、私は、自分が幼い頃にテレビで見たかった人になることができるのです。だから、決してできないとは言わないでください。できます。自分が夢にも思わなかったような形で実現できることがあるのです」

 社会における多様な人々がテレビや映画や広告などで描かれることは“レプリゼンテーション(表象)”のひとつ。ノリとジュリアーナの経験は、これまでのエンタメ作品でどれだけ適切なレプリゼンテーションをされてこなかった人たちがいるかを痛感させ、現代の制作会社が行なっている多様性への取り組みがどれだけ次世代に良い影響をもたらすかが分かる。

 ドラマ『レイブンのウチはチョー大変!』は日本ではディズニープラスでシーズン4まで配信中。シーズン5は今後配信が発表される見込み。(フロントロウ編集部)

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