アコースティックセットのミニライブが圧巻
定刻の時間になると、カーリー・レイ・ジェプセンやバンドマンたちが登場。カーリーは黒のセットアップに、シースルーのアウターを着用。いつものカラフルでポップなカーリーとは打って変わり、大人っぽい雰囲気だった。
このイベントでは俳優のトム・ハンクスがMVに参加したことでも話題になった楽曲「I Really Like You」からスタート。新型コロナウイルスの感染症対策もあり、声を出すことが禁じられていたが、カーリーのパフォーマンスに応えようと手拍子。ファンは心の中で声援を送りルールをきちんと守りながらも、カーリーのパフォーマンスを盛りあげ、カーリーもその気持ちに応えるように美声を響かせ、そこには双方の絆が見られた。
2曲目の「Beach House」はニューアルバム『ザ・ロンリエスト・タイム』からの先行シングルで、マッチングアプリを使ったデートについての楽曲。カーリーもノリノリでダンスをしながらパフォーマンス。3曲目もニューアルバムから「Western Wind」をパフォーマンス。こちらでは少しムードを変えて座りながら歌唱し、まるでMVと同じくどこからか風が吹いていると思わせるほど爽やかに歌いあげた。
そしてラストの曲となったのは「Cut To The Feeling」。日本でも花王ビオレのCM曲として一躍有名になったこの曲は、感情に素直になるというメッセージのように、ファンの中には曲に合わせてダンスをして心行くまでカーリーワールドを堪能する人も見られた。
今回のミニライブは、全てアコースティックセット。そのため、お馴染みの楽曲でもいつもと一風変わったサウンドとなっており、カーリーの美声を思う存分堪能することができた。
日本で買い物しすぎて「新しいスーツケースが必要」
ミニライブが終了すると、トークコーナーがスタート。まずカーリーが、「今日は来てくれてありがとうございます。こんなにも来てくれてびっくりしています」と来てくれたファンに感謝。
トークコーナーでは久しぶりの日本でのパフォーマンスとなったサマソニのことも。カーリーは「大阪からはじまり、『誰もきてくれなかったりして』と思っていたんですが、みなさんがたくさん来てくれてびっくりしたし、感動しました。最初はドキドキしていたんですが、東京に戻って来た時は慣れつつあったので楽しめました」と語ると、「『Cut To The Feeling』の時に後ろの方までライトがついて皆さんの顔がよく見られたことがハイライトでした」とサマソニで印象に残ったシーンを教えてくれた。
日本での買い物を何よりも楽しみにしていたカーリー。この日は朝から取材だったにもかかわらず、時間を見つけて買い物を楽しんだようで「お昼を食べたりするために30分単位の休憩時間があったのですが、休憩時間の度に買い物に出かけていました」と明かし、「買ったものを入れるための新しいスーツケースが必要です」とコメント。日本で行きたいところはあるかと聞かれると、「日本で探検したいと思っており、温泉もいいなと思っています。リラックスしたいです」と日本通ならではの発言も。
また、パンデミック中に世界中のプロデューサーと仕事が出来るようにホームスタジオを完成させたことや、クロシェ編みにハマりスカーフを作ったといったプライベートなことまで教えてくれた。
ニューアルバムでは憧れの人とコラボ
このイベントの前日に、ニューアルバム『ザ・ロンリエスト・タイム』のトラックリストが解禁。カーリーは『ザ・ロンリエスト・タイム』について「ここ数年、皆さんが寂しい時間を過ごされていたかと思いますが、その寂しさからくる反応がすごく面白いなと思って、寂しさを内面的に探究していきました」と、パンデミック中の出来事が反映されているとコメント。こだわったアルバムのアートワークは、スウェーデンの美術館に展示されていたスティルライフの絵画を見てインスピレーションを得たよう。
さらにこのアルバムでは、カーリーがソングライターになるきっかけとなったルーファス・ウェインライトとのコラボが実現。ルーファスは、ソングライターとして活躍し、『ムーランルージュ』や『アイ・アム・サム』などの人気作品に音楽を提供している。カーリーは昔からルーファスのファンだったようで「昔から彼が大好きで、昔の作品の『Poses』を聞きながら電車で移動していたんです。このアルバムを聞きながら『私はソングライターになる』という決意をしました。それから10年が経ち、彼がコラボしてくれたんで、自分にとって夢が叶った感じでした」と熱く語った。
ちなみにカーリーはニューアルバムの中でとくに気に入っているのは「Far Away」という曲だそう。
コロナ禍でのアルバム作りは、これまでと一変。Zoomでの打ち合わせが多かったが「曲を暖めながら作ることが出来たんです」とプラスな面もあったよう。いつも通りにアルバムを作ることが出来ないなかでも、逆にプラスにとらえるところは、ポジティブなカーリーらしい一面でもあった。
そしてカーリーは会場に集まったファンと一緒に記念撮影。
トークコーナーでたっぷりカーリーの話を聞いた後は、待ちに待ったサインのお渡し会。カーリーのサインが入った写真を本人からもらえるという夢のような時間。100人以上のファンがイベントに参加したが、それぞれネイルを見せたり、自分が作って来たものを見せたり、手紙を渡したりと、短い時間ながらカーリーと交流。カーリーは片時も笑顔を絶やさず、ファン1人1人と向き合った。
そんなカーリーの神対応のため、イベントの終了時間は大幅にオーバー。カーリーの優しさがあふれ出した“ハプニング”となった。
カーリーにとって6枚目となるアルバム『ザ・ロンリエスト・タイム』は、10月21日にリリースされる。9月からはザ・ソー・ナイス・ツアーをアメリカで開催することを発表。このツアーでカーリーが再び日本に戻ってきてくれることを願う。
カーリー・レイ・ジェプセン ニューアルバム『ザ・ロンリエスト・タイム』
10月21日リリース。
(フロントロウ編集部)