立ち消えかと思われた『君の名前で僕を呼んで』の続編制作
2017年に公開され、低予算映画でありながら大ヒットを記録し、アカデミー賞脚色賞にも輝いた『君の名前で僕を呼んで』。ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーが、恋に落ちるエリオとオリヴァーを演じた本作は、続編の計画も進んでいた。2020年にルカ・グァダニーノ監督が話したところでは、メインキャストが全員続投するということだったが、2021年にアーミーに様々な問題が発生。
女性への性暴力行為や、“食人願望”についての疑惑が浮上し、彼は出演予定だった作品をすべて降板、エージェントとも契約を解除という事態に。そのため、アーミーが『君の名前で僕を呼んで』の続編に出演することはほぼ不可能となった。
また、グァダニーノ監督は最新作『Bones and All』でティモシーと共演したのだが、この作品のテーマと発表のタイミングが悪かった。アーミーの騒動が勃発したのは1月上旬だったが、作品が発表されたのは1月の終わりで、本作は「カニバリズム(食人)」がテーマの1つにあるのだ。
原作は2015年に発表されたもので、アーミーとの想像にはまったく関係ないのだが、グァダニーノ監督とティモシーがカニバリズムをテーマにした作品を作るとなれば、アーミーの問題も思い出してしまう人がいるのは仕方のないことでもある。監督はコメントを控えていたが、先月8月に遂に口を開き、「デジタルなスキャンダルと、この映画を作りたいという私たちの願いの間に関係はなく、呆れるばかりです。私は、この映画とまったく関係のないことについてよりも、映画が何を伝えているのかについて話したい」と反応。
さらに、アーミーに件については、騒ぐだけではなく、社会問題として建設的に取り組むべきだとしたため、今後監督がアーミーと一緒に仕事をすることはなさそうであり、『君の名前で僕を呼んで』の続編もなさそうだと思われた。
ティモシー・シャラメ単独主演の可能性
しかし、監督はエリオの物語を制作することには、まだまだ前向きだった! テルユライド映画祭でのインタビューで、こんな思いを明かした。
「続編というのは、アメリカ的な考え方ですね。次の作品はエリオの伝記のようなものになるでしょう。若い少年が大人の男性になっていく話です。それが私がやりたいことです」
エリオが成長していく様子を追った物語として、次の作品は制作可能! となれば、主演はティモシーなはず。現在では当時よりもスター俳優となり、今後は『DUNE/デューン 砂の惑星』2作目や『Wonka(ウォンカ)』といった超大作の公開も控えているティモシー。
しかしどれだけ忙しくとも、監督とティモシーの絆は深いようで、『Bones and All』でふたたび一緒に映画を撮ることになったことについては、「私が、俳優として花開いたティモシーの元を去り、4年後に見つけたというようなことではありません。私たちは親しくしてきました。また一緒に働くまでにそんなに時間はかからないと分かっていましたが、正しいプロジェクトである必要があったのです」と話していた。
ぜひとも実現してほしいエリオの物語。続報に期待。
(フロントロウ編集部)