ウォルト・ディズニー・カンパニーが目指すローカル戦略
現地時間9月9日〜9月11日に行なわれた“究極のディズニーファンイベント”D23 Expo 2022で行なわれたプレゼンテーションに、ウォルト・ディズニー・カンパニーでインターナショナル・コンテンツ&オペレーションズ部門のチェアマンを務めるレベッカ・キャンベル氏が登壇。全世界の契約者数が約2億2,100万人を突破した、ディズニープラスをはじめとした同社の動画配信サービスの今後の戦略について発表を行なった。
今年のD23 Expoが開幕した前日の9月8日は、年に一度のセレブレーションイベントである「ディズニープラス・デイ」に当たる日で、ディズニープラスにてBTSのコンサートフィルム『BTS: PERMISSION TO DANCE ON STAG –LA』の独占配信がスタートしたが、キャンベル氏によれば、同作の配信は、世界各地で地域ごとのコンテンツを強化していく戦略の一環だという。
キャンベル氏によれば、初めて動画配信サービスをローンチした2019年の当初から「ローカルなコンテンツへの投資の必要性を認識していた」といい、ローンチ以降、これまでに配信してきたローカルな作品は143作。2022年内には合計で210作の配信を目指しているという。「地域における最高の才能の持ち主たちを発掘し、その地域のストーリーを伝えていくために、ディズニーが誰もが認めるリーダーとなり、その役割を担っていくことを目指しています」。
地域ごとにその地域に適した作品を製作していくことの重要性については、「素晴らしいコンテンツたちがグローバルに配信されていますが、必ずしも地域ごとのオーディエンスにも共感してもらえるとは限らないということは認識しています」とキャンベル氏。「日本のアニメや韓国ドラマ」を例に挙げながら、地域のストーリーを伝えていくというニーズに応えるために、地域ごとに親しまれているタレントを起用するなどして、「より地域にフォーカスした投資を行なっていく」とした。
まずはローカルに向けてコンテンツを作り、それがグローバル市場にも適しているかを見極めていくという。「あらゆるマーケットにいる視聴者に、その地域で製作された彼らが共感できるような物語を提供しながら、世界規模のIPであるというディズニーのグローバルなブランドとしての利点を最大限に活かしたいと思っています」とキャンベル氏は語った。
ディズニーがアジア太平洋地域で目指していること
「アジア太平洋地域においては、ローカルな言語で製作されたコンテンツが、多くの地域において視聴時間の大多数を占めています」と話すのは、APAC(アジア太平洋地域)コンテンツ&デベロップメントの責任者であるジェシカ・カム=エングル氏。「日本や韓国で製作されるオリジナル・コンテンツへの世界的な需要に象徴されるように、この地域はローカルなコンテンツがしのぎを削っている場所でもあります」。
「私たちはアジア太平洋地域における第一人者や新進気鋭のクリエイター、スタジオ、タレントと手を取り合ってきましたが、正直に申し上げて、このマーケットから誕生する物語のクオリティの高さには脱帽しています」と続けたカム=エングル氏は、そうした提携の筆頭として、BTSの所属事務所としても知られるHYBE社との提携を挙げ、「この提携は、APACから世界に向けてグローバル規模のエンターテイメントを発信していくという我々の使命を象徴するものです」とコメント。さらに、キャンベル氏がBTS関連のコンテンツについて、北米以外の地域からグローバル規模の作品を発信できることを示す「まさに完璧な例です」と付け加えた。
そして、今回の発表で日本の注目コンテンツとして紹介されたのは、映画『ドライブ・マイ・カー』の山本晃久がプロデュースを手がけることでも話題の、柳楽優弥が主演を務める二宮正明の同名コミックの実写ドラマ『ガンニバル』。カム=エングル氏は、山本晃久をプロデューサーとして迎えられたことを嬉しく思っているとコメントした。
「私たちはこれからも、一流のコンテンツ・クリエイターやタレントたちと提携し、この巨大で多岐にわたる地域の素晴らしい物語を世界に向けて発信してきます」とカム=エングル氏は続けた。ディズニープラス「スター」の日本発オリジナルシリーズとなるドラマ『ガンニバル』は、12月28日(水)より独占配信される。(フロントロウ編集部)