イランで警察によって殺されたと見られる女性マフサ・アミニさんの事件を受けて、イラン国内でも、世界各国でも多くの人々が怒りの声をあげている。(フロントロウ編集部)

彼女の名前は、マフサ・アミニ

 イランで、女性であるマフサ・アミニさんがヒジャブを正しく着ていなかったという理由で警察に身柄を拘束され、その後死亡。警察は彼女が心臓発作を起こしたと発表しているが、実際は警察から暴行されて死亡したという見方が強い。この事件をきっかけに、世界各国で大規模なデモが発生している。

 イランではイスラム教の教えのもと、女性はヒジャブの着用が義務。事件はイランで起こったことだが、世界に存在する非常に多くの宗教で女性の人権を制限する傾向があるのは事実で、女性の人権問題は世界のすべての女性に関係すること。そのため、マフサさんの死を悼み、女性への不当な抑圧に世界中の女性が声をあげ、さらに多くの男性もその声を支持している。

 イランのケルマーンでは、怒りに燃える女性が街に設置されたボックスの上に座り、髪を切った。そしてそれを、男性たちが歓声で応援した。この様子を伝えたジャーナリストのGolnaz Esfandiariは「これまでに見たことのない光景」だとしており、人々が人権を取り戻そうとしていることが分かる。また、イランのアクティビストMasih Alinejadは、女性たちがヒジャブを燃やしている様子や、ヒジャブを取って振り回す様子を伝えている。これらの女性の行為は、イランでは罪に問われてもおかしくはない。

 一方で、イラン政府はデモを弾圧し、市民のインターネットへのアクセスを制限しようとしている。しかし国外に住むイラン人は多く、人々はどうにかSNSで国の状況を伝えようとしており、イギリスのオックスフォード大学で学ぶ女性は、「イランの女性たちの連帯を示すために、髪を切ることにした。プロテストが起こっていることに注目し続けてもらう必要がある。とくに、イランに住むイラン人はインターネットへのアクセスを制限されているから」というキャプションとともに動画を投稿した。

 United For IranのエグゼクティブディレクターであるFiruzeh Mahmoudiは、米Ms.で、「SNSやアプリ、ブログ、ウェブサイトなどを使って、イラクの女性たちは公的な議論に参加し、自分たちの市民権を使っています。多くは匿名です。盛り上がる女性の人権運動にとっては幸運はことに、家父長的で女性軽視な政府はインターネットを検閲し、コントロールする方法を完璧には見つけていません」とコメントした。

多くの著名人も怒りの声

 そして、発信力のある多くの著名人も事件について声をあげている。パレスチナ系アメリカ人であるモデルのベラ・ハディッドは、マフサさんの写真や事件についての詳細を綴った画像をシェア。

 パフラヴィー朝の旧イラン皇妃ファラー・パフラヴィー氏もマフサさんを追悼。米Graziaによると、現在のイスラム共和制は「反フェミニスト」であり、「ふたたび、イランの子どもが反イラン政府の警察によってその命を落とした」と綴った。

 俳優のエヴァ・メンデスは、イラン出身の友人のインスタグラム投稿をリポスト。そのなかには、「私はイランの女性たちとともにある」という文字も。

 さらにその投稿を、ミュージシャンのジャスティン・ビーバーがシェアした。

画像1: 多くの著名人も怒りの声

 女性の人権のために活動してきたことで知られるジェシカ・チャステインは、事件や現在のイランの状況を伝えたうえで、「私はイランの女性たちとともにいる。そして彼女たちの声をさらに遠くまで響かせる。1人の女性が攻撃された時、それは私たち全員への攻撃」と綴った。

 ミュージシャンのホールジーは、思いを綴った画像を3枚にわたってインスタグラムに投稿。「“私の体、私の選択”(※)は西洋の女性だけに約束されたものじゃない。すべての女性が自分でヒジャブを身に着けるかどうかを決める権利がある」と書かれていた。
 ※中絶に関する権利などを求める時に使われるスローガン。

画像2: 多くの著名人も怒りの声

 ミュージシャンのヤングブラッドはライブ中に「今クソキレてる」と話し始め、マフサさんが殺されたことへの怒りを表明。「今イランにいる女性たちのために闘う」と叫び、インターネットが制限されていることに触れ、「彼女たちのために声をあげるのは(国外にいる)自分たち次第」だと観客に語りかけて、女性たちのために声をあげ続けるよう呼びかけた。

(フロントロウ編集部)

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