武内直子による漫画『美少女戦士セーラームーン』や、高橋留美子による『らんま1/2』などは、ピクサー作品に影響を与えていた。(フロントロウ編集部)

『私ときどきレッサーパンダ』監督、女性の漫画家による作品に感銘

 2022年3月にディズニープラスで配信開始となったアニメーション映画『私ときどきレッサーパンダ』のドミー・シー監督が、アメリカのロサンゼルスで開催されたAnimation Is Film Festivalに出席。ファンとのQ&Aの中で、『セーラームーン』といった日本の漫画が作品に与えた影響について話した。

 『私ときどきレッサーパンダ』は13歳の少女メイが主人公だが、作品には、監督自身が13歳の頃に熱中していたマンガや映画など、様々な物語からの影響があるという。そしてそのなかでも大きなインスピレーションとなったのが、『セーラームーン』だという。

 監督によると、『私ときどきレッサーパンダ』のメイ、ミリアム、プリヤ、アビーの4人組をデザインする時に、それぞれのカラーパレットは『セーラームーン』を参考にしたのだという。世界を救うヒーローモノである『セーラームーン』が、ほっこりした作風の『私ときどきレッサーパンダ』に影響を与えているのは一見すると意外に感じる。しかし監督は米Indie Wireで、「多くの日本のアニメを見て、そして女性によって描かれた多くの漫画を読んで育ちました。『セーラームーン』は世界を救う中学生の少女たちの話で、彼女たちは親友でもあり、一緒にお出かけもします。それは本当に、本当に良かった。私たちは本作で、その少女たちの友情を表現したかった」と語っており、その思いを聞くと、2つの作品の間に繋がりがあるのが理解できる。

 また、監督は米Polygonのインタビューで、『セーラームーン』における夜のシーンのカラーパレットも参考にしたことを明かしている。そして彼女が好きだった作品はこれだけではない。人間が動物になるという設定は漫画でも多く、高屋奈月による『フルーツバスケット』や、高橋留美子による『らんま1/2』、『犬夜叉』などもお気に入りの作品だそうで、米Indie Wireのインタビューで熱い思いを語った。

 「『フルーツバスケット』と『らんま1/2』も、女性によって創作された、人間が動物に変身する、高校の恋愛やコメディ、ドラマの面白いアニメです。私はそれらすべてにとてもインスピレーションを受けました。面白い10代の女の子たちのエネルギーは、私が心から大きなスクリーンに映し出したかったものです」

 『私ときどきレッサーパンダ』で映し出された、自由で生き生きとした少女たちの姿は、多くの観客を笑顔にした。そこには、国を超えて女性のクリエイターたちが繋いできたバトンがあった。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.