今年6月、元夫のジョニー・デップとの名誉毀損裁判に敗訴したアンバー・ハードに対して、130以上の個人と団体が支援を表明する声明を発表。(フロントロウ編集部)

130以上の個人と団体がアンバー・ハードの支援を表明

 今年6月に元夫で俳優のジョニー・デップとの名誉毀損裁判に敗訴したアンバー・ハードに強力なサポーターが現れた。

 2020年にイギリスで行なわれたジョニーvs英大衆紙The Sunの裁判(※)では、The Sunがジョニーがアンバーに対して暴力的だったと報じたことは「実質的に見て事実に反していない」と判断されたが、今年、アメリカで行なわれた裁判(※)では、アンバーがジョニーによる暴力を遠回しに告発した米Washington Postの論説は「虚偽で名誉毀損にあたる」と判断され、アンバーは合計で1,500万ドル(約19.5億円)の賠償金をジョニーに支払うよう命じられた。また、アンバーもジョニーへの反訴で200万ドル(約2.6億円)の賠償金を勝ち取った
※イギリスは裁判官が1人で審理・判決を行なう単独審で、アメリカは選ばれた国民が有罪かどうかを判断する陪審制。

 アメリカの裁判で法的に勝訴したのはジョニーだが、イギリスの裁判では敗訴していることから、ジョニーに暴力を振るわれたというアンバーの主張を否定するジョニー擁護派と、アンバーの主張を支持するアンバー擁護派で世論は真っ二つに分かれている。

画像: 130以上の個人と団体がアンバー・ハードの支援を表明

 アンバーがネット上でひどい誹謗中傷にさらされていることは、アメリカでの裁判でも議題にあがったが、アンバーだけでなく、彼女を擁護する人たちもその対象となっており、嫌がらせや中傷行為は今もなお続いている。そうした状況を懸念して、人権活動家として有名なグロリア・スタイネムや作家のスリー・モーガン・スタイナーを含む個人や、ウィメンズマーチを主導するWomen’s March ActionやWomen’s March Foundationをはじめとする女性の権利擁護、家庭内暴力(DV)、性的暴行の啓発に焦点を当てた多くの団体が共同で声明を発表した。

 以下、130以上のフェミニスト団体と個人が署名した公開状の全訳。

 「5ヵ月前、ジョニー・デップとアンバー・ハードの名誉毀損裁判の評決は、身近なパートナーによる性暴力の分野の多くの専門家に深い懸念を抱かせました。ニューヨーク・タイムズ紙のA.O.スコットをはじめとする多くの人が指摘しているように、ハードさんに対する中傷や、彼女や彼女を支持する声をあげた人たちに対するオンラインでの嫌がらせは、その激しさと規模の両方で前例のないものになっています。このハラスメントの多くは、誤った情報、ミソジニー、バイフォビア、そして収益化されたソーシャルメディア環境によって煽られ、女性のDVや性的暴行の主張が娯楽のために嘲笑されました。そして、同様の誤った情報と被害者を非難する手法が、虐待を訴えた他の人々に対しても使われています。私たちの意見では、デップ対ハードの裁判の評決とそれにまつわる継続的な議論は、身近なパートナーによる性的暴力、そしてそれに対するサバイバーの対応について、根本的な誤解があることを示しています。このような誤った情報の拡散がもたらす被害は計り知れません。私たちは、サバイバーが脅し黙らせるために名誉毀損訴訟が悪用されつつあることに重大な懸念を持っています。私たちは、アンバー・ハードへの公的な辱めを非難し、彼女への支援を表明します。私たちは、身近なパートナーによる性的暴力を、嫌がらせや脅迫なしに報告する権利を誰もが持つことを支持します」

 ちなみに、アンバーはアメリカでの裁判の評決を不服として控訴している。一方のジョニーも、アンバーの主張が一部認められたことを不服として控訴しており、双方あるいは片方の申し立てが認められた場合、両者は再び法廷で顔を合わせることになる。(フロントロウ編集部)

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