インド出身で、現在はハリウッドで活躍するプリヤンカー・チョープラーが、ボリウッドにおける男女間の賃金格差について明かした。(フロントロウ編集部)

ボリウッドで女性が得られる賃金は男性の10分の1

 映画『マトリックス レザレクションズ』や『ロマンティックじゃない?』などへの出演で知られる俳優のプリヤンカー・チョープラーはインド出身。ボリウッドで活躍した後にハリウッドへ活躍の場を移し、現在ではハリウッドで最も有名なインド出身俳優の1人となっている。そんな彼女が、英BBCのインタビューでボリウッドにおける女性軽視について語った。

 「私はボリウッドで賃金平等の機会を得たことはありませんでした。私のギャラは、男性共演者の10%ほどでした。それ(賃金格差)は深刻です。(男女差は)非常に大きいです。そして、今でも多くの女性がその問題に直面しています。私もボリウッドで男性と共演するなら、今でも同じ問題に直面すると思います」

 彼女が現在の拠点とする映画の都アメリカのハリウッドであっても、賃金格差は非常に大きな問題となってきた。しかし改善の兆しはみせており、プリヤンカーは20年以上ののキャリアで初めて男性共演者と同等のギャラを得たのは、アメリカドラマ『Citadel(原題)』でのことだと話す。

 インドではアメリカほど女性が声をあげていないのだろうかと思ってしまう人もいるかもしれないが、それは女性に責任転嫁をしているだけで、根本的な問題は権力層が男性と女性で支払うべき金額が異なると考えているという、シンプルで根深いこと。そしてプリヤンカーは、ボリウッドでも「私の世代の女性たちは、もちろん(賃金平等を)求めてきました」とし、そのうえで「求めたけど、得られなかった」のだと語る。社会問題は、社会に解決する姿勢がなければ、いくら被害者が声をあげても改善されない。

 日本では映像業界における男女間の賃金格差を調べたデータはないが、日本全体で見た時には、男女の賃金格差は韓国とイスラエルに次いで大きいことが2020年の経済協力開発機構(OECD)の調査で分かっているため、映像業界でも同様の問題は存在すると思われる。

画像: ボリウッドで女性が得られる賃金は男性の10分の1

賃金だけではない、女性軽視が存在する環境とは

 プリヤンカーは続けて、労働環境の問題も指摘。男性共演者のスケジュールに女性が合わせるという状態だったという。

 「男性共演者が自由時間を取り、セットには来たい時に来て、その時が撮影となる一方で、私はセットで何時間も座っていなければならないことは、まったく問題のないことだと思っていました」

 さらに、もちろんルッキズムもあった。プリヤンカーは肌の色が浅黒いことについてコメントされることが多かったそうで、「みんなが茶色い肌の国で“浅黒い”って、一体どういうこと?」と話す。そこには、かつてイギリスがインドを植民地としていた歴史があると感じているという。

 一方で、ハリウッドで活動するようになってからは、南アジア系という人種で苦労することは多く、「まだまだ道は長い」と語ったプリヤンカー。インド映画は世界的に人気を獲得しているが、それを応援するうえで、こういった問題にも目を向けていくべきだろう。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.