ディズニー&ピクサー最新作『マイ・エレメント』のアイディアはアジアにルーツがあった! ピーター・ソーン監督が登壇した、シンガポールで開催されたウォルト・ディズニー・カンパニー・アジア・パシフィックによるコンテンツ・ショーケース2022のプレゼンテーションをレポート。(フロントロウ編集部)

『マイ・エレメント』ピーター・ソーン監督がコンテンツ・ショーケース2022に登壇

 ウォルト・ディズニー・カンパニー・アジア・パシフィックが現地時間11月30日に、シンガポールにてアジア太平洋地域(APAC)に向けたコンテンツ・ショーケースを開催。日本を含むAPAC発の新作はもちろん、ディズニー主要スタジオの新作ラインナップもAPAC市場に向けて改めてプレゼンされた。

画像1: ©️Courtesy of The Walt Disney Company
©️Courtesy of The Walt Disney Company

 そのなかで、ピクサーからは2023年初夏に日本で劇場公開される『マイ・エレメント』や、2024年春に全米公開を予定している、宇宙から“地球大使”と間違われてしまう少年が主人公の映画『エリオ』、2023年秋にディズニープラスで配信予定のピクサー初の長編アニメーション“シリーズ”である『ウィン OR ルーズ』、そして『インサイド・ヘッド』待望の続編となる、2024年夏に全米公開予定の『インサイド・アウト2(原題)』をアジアに向けて紹介。『マイ・エレメント』については、監督であるピーター・ソーンが会場を訪れて、直接メディアに向けてプレゼンテーションを行なった。

 今回のコンテンツショーケースには、来たるウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの新作映画『ウィッシュ』の共同監督であるファウン・ヴィーラスンソーンらがアメリカからリモートで参加したが、米スタジオの新作を発表するために直接シンガポールを訪れたのは、ソーン監督ただ1人。韓国にルーツを持つソーン監督だが、実は『マイ・エレメント』は、韓国からアメリカに移住してきた彼の両親の体験からインスピレーションを得た作品となっていて、そうした物語をアジアのメディアに向けて自ら説明するために、今回シンガポールを訪れた。

画像: 幼少期のソーン監督を抱き抱える母親と、その横に立つ父親の写真を見せてくれたソーン監督。

幼少期のソーン監督を抱き抱える母親と、その横に立つ父親の写真を見せてくれたソーン監督。

 「これは私にとってパーソナルな物語なのです」と、『マイ・エレメント』について語ったソーン監督。「私の両親は1970年代の初頭に韓国からアメリカへと移住しました。両親にはあまりお金がなく、アメリカに家族もいませんでした。英語も話せなかったのですが、両親はどうにかしてニューヨークで生活を送っていました」。

 「私の両親のように、多くの人たちが故郷を離れて、同じように希望や夢を持って新しい土地へと移り住んできました。そこでは、文化や言語、素敵な隣人たちに囲まれた素晴らしい一皿のサラダのような場所を見ることができました」と、世界各地から希望や夢を胸に多くの人々が集まるニューヨークを様々な材料で作られたサラダになぞらえたソーン監督は、『マイ・エレメント』についてもそんなニューヨークでの経験がインスピレーションになったとして、次のように説明した。

 「そういうわけで、新しい映画を作ることを決めたときに、騒がしい大都会で奮闘するために犠牲を払ったり、リスクをとってきたすべての人たちのための物語を伝えたいと思ったのです」。

『マイ・エレメント』の主人公は“正反対”の2人

 『マイ・エレメント』で描かれるのは、火・水・土・風のエレメント(元素)が共に暮らす都市エレメント・シティで巻き起こる物語。

画像: コンテンツ・ショーケースでは、『マイ・エレメント』の舞台であるエレメント・シティのコンセプトアートも公開された。

コンテンツ・ショーケースでは、『マイ・エレメント』の舞台であるエレメント・シティのコンセプトアートも公開された。

 本作の主人公は、ソーン監督いわく正反対のキャラクターだという、“火のエレメント”エンバーと“水のエレメント”ウェイドの2人。タフな性格であるエンバーは、明るい炎で水に囲まれたエレメント・シティを照らしてくれるような存在である一方で、そのタフさから自分では抑えられないほどの「熱」を帯びてしまうことも。一方、ウェイドについては「感傷的」なキャラクターだとソーン監督は説明する。

画像2: ©️Courtesy of The Walt Disney Company
©️Courtesy of The Walt Disney Company

 エレメント・シティで出会ったエンバーとウェイドは仲良くなり、一緒に過ごすようになるのだが、火と水ということで、接触すれば相手を消してしまうというリスクも。このショーケース限定で公開された本編映像には、スポーツの試合会場でハイタッチをしようとした2人が、ハイタッチをすることができないことに気づいて落ち込んでしまう場面も観ることができた。

『マイ・エレメント』はそれぞれの違いを認めるラブストーリー

 「この映画は、1人1人の“違い”が私たちをいかに“1つ”にしているかということをテーマにしています」とソーン監督は説明した上で、『マイ・エレメント』は「ラブストーリーでもあります」と強調。「なのでオーディエンスの皆さんには、皆さんのパートナーや友人、家族、そして親御さんとの愛について、より深く理解してもらえたらなと願っています」として、同作を観た後で身近な人との愛が深まってほしいと語った。

画像3: ©️Courtesy of The Walt Disney Company
©️Courtesy of The Walt Disney Company

 1人1人の違いを受け入れれば、お互いをより深く愛せるようになるというメッセージを込めたという『マイ・エレメント』。近年、ディズニーは作品に人種など世の中のレプリゼンテーションを反映することに力を入れているが、アジア系移民であるソーン監督の両親の体験にインスピレーションを受けたという背景もディズニーらしい。ちなみに、アメリカ版ではエンバー役の声優に中国系のリア・ルイスが、ウェイド役の声優にはモーリタニア系であるママドゥ・アティエが起用されている。

 「この作品の大きなテーマは、私たちのために犠牲を払ってくれた親たちに感謝することです」とソーン監督は改めて強調する。「親や家族を称えようとしているのです」。ピーター・ソーン監督が韓国系移民だった両親の体験にインスピレーションを得て、それぞれの違いを認めることについて描いたディズニー&ピクサー最新作『マイ・エレメント』は2023年夏に劇場公開。(フロントロウ編集部)

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