ジョニー・デップとアンバー・ハードが示談
今年6月に評決が下された元夫のジョニー・デップとの名誉毀損裁判で再審請求を行なったアンバー・ハードが、裁判所の判断を待たずして、ジョニーと示談したことを発表した。
この裁判で、陪審員たちはアンバーがジョニーによる家庭内暴力(DV)を遠回しに告発した米Washington Postの論説は「虚偽で名誉毀損にあたる」と判断し、アンバーに合計で1,500万ドル(約19.5億円)の賠償金をジョニーに支払うよう命じた。一方のアンバーもジョニーへの反訴で200万ドル(約2.6億円)の賠償金を勝ち取った。
アンバー・ハードの声明
「熟考に熟考を重ねた末、バージニア州で元夫から起こした名誉毀損裁判を解決するために非常に難しい決断を下しました。重要なのは(この決断を)私が選んだわけではないということです。私は自分の真実を守り、それによって私の人生は破壊されました。被害を名乗り出た女性の多くが二次被害にあいますが、私がSNS上で受けた誹謗中傷はそれを増幅させたものです。6年以上前に離れようとしたものから、自分が納得できる条件で解放される機会がようやく巡ってきました。私は何も認めていません。これは決して譲歩する行為ではありません。今後も私が声が上げることに何の制約も言論圧迫もありません」
「私はアメリカの法制度への信頼を失い、この決断を下しました。私の無防備な証言はエンターテイメントと化し、ソーシャルメディアのネタになったのです。イギリスで私が裁判官の前に立ったとき、私は強固で公平かつ公正な制度によって正当性が認められ、世界中のメディアの前で最悪の証言をする必要から守られ、裁判所は私がDVや性的暴力にさらされていたことを認めたのです。しかしアメリカでは、私の証言を裏付ける豊富な直接証拠が排除され、理性や適正手続きよりも人気や権力が重視される法廷にさらされ、裁判の前にも裁判中にもほとんどすべてのリソースを使い果たしました。この間、私は二度と経験できないような屈辱にさらされました。たとえアメリカでの控訴が成功したとしても、良くて、新しい陪審員が証拠の期限を検討する再審が得られるくらいでしょう。私は、あれを再び経験することはできません」
「時間は貴重であり、私は生産的かつ目的意識を持って時間を使いたいのです。私はあまりにも長い間、困難で費用のかかる法的プロセスの中に閉じ込められ、そのプロセスは私と私の言論の自由の権利を守ることができないことを示してきました。金銭的なものだけでなく、心理的、身体的、感情的なものも含めて、私は不可能な請求を受けるリスクを負う余裕はありません。女性は自分の真実を語ったために、虐待や破産に直面する必要はないはずですが、残念ながらそれは珍しいことではありません。私は、この件を示談とすることで、離婚後に私を癒してくれた仕事に自分の時間を捧げる自由を選びます。見てもらえ、聞いてもらえ、信じてもらえると感じられる領域で存在し、変化をもたらすことができると知っている仕事です。私は起こったことに脅かされたり、意気消沈したり、真実を語ることを思いとどまったりすることはないでしょう。誰もそれを私から奪うことはできません。私の声は永遠に、私の最も貴重な財産です」
「私の優れた控訴審チームと原審チームの絶え間ない努力に感謝します。私を支えてくれたすべての人に感謝します。そして、裁判から数ヵ月の間に私が感じ、公に目にした支援の高まりと、私の話に連帯感を示すためになされた努力に目を向けたいと思います。(暴力の)サバイバーであれば誰でも、自分の話をすることが唯一の救いのように感じられることが多いことを知っています。あなたからの信頼がもたらす希望は、言葉では言い表せないほどです。私自身だけでなく、皆さんにとってもです。ありがとうございました。また会いましょう」
なお、アンバーは示談の条件について明かしていないが、米Peopleによると、ジョニーに和解金100万ドル(約1億3,000万円)を支払うことで話がまとまったそうで、示談金はアンバーが契約している保険会社からの保険金で賄われる予定だという。
ジョニー・デップの弁護士の声明
「今回の裁判を通じて、真実を明らかにすることを最優先にしてきたデップ氏にとって辛い人生の一章を正式に閉じることができて嬉しく思います。陪審員が全員一致で出した評決と、デップ氏がハードさんよりも有利な裁定を下されたという事実は今後も残り続けます。デップ氏が慈善団体に寄付することを誓約した100万ドルの示談金は、司法制度の厳格な追求によって出された結論をハードさんが認めたことを表しています」
※当初「和解」としていた表現を「示談」へと訂正しました。
(フロントロウ編集部)