アメリカで、義父が自分のヌード写真をコレクションしていたことを知った女性が男を殺害。終身刑の可能性もあるという。(フロントロウ編集部)

義父が娘のヌード写真を所持、殺人事件に発展

 アメリカのカリフォルニア州で、蝶の保全活動や研究を行なう非営利団体の創設者であるトーマス・メリマンが殺害された。犯人は義理の娘であるジェイド・ジャンクスで、第一級殺人の罪で25年以上の実刑から終身刑となる可能性があるという。

 現在39歳のジェイドは、2020年12月31日に、当時64歳だった義父を殺害。薬物を飲ませ、プラスチックの袋を使用して首を絞めたという。遺体は車道脇のゴミの山のなかで発見された。

 殺害の理由は、義父が自分の裸の写真を集めていたことを知ったからだと報じられている。トーマスが入院したため、彼女が彼の部屋を片づけていたところ、彼のパソコンのスクリーンセーバーに自分のヌード写真を発見。パソコンの中を見たところ、写真は身体のパーツごとにフォルダ分けされており、彼女がシャワーを浴びている写真もあったという。現在39歳の彼女が10代の頃の写真だったという。

  写真はジェイドが過去に交際していたパートナーによって、同意のうえで撮影されたものだと見られる。それをトーマスがどう入手したかは不明。

 ジェイドは証言で、「それは最も侵害的で、酷く、お腹が引き裂かれるような感覚でした。気持ちが悪くなり、自分自身の肌を触ることができないような感じでした。この感覚に言葉があるのか知りません。これほどまで気持ちの悪いものを、映画でも見たことがありません」と話した。

 メリマンの死因は睡眠導入剤のオーバードーズとなっており、ジェイド側は裁判で、彼女が義父の首を絞めて殺した証拠はないと主張。検察側も絞殺が死因だとは考えていない。しかし検察は、彼女が薬物を手に入れた証拠、そして彼女が知人に送っていた、彼を殺したことをほのめかすメッセージを殺人の証拠として提示している。

画像: 義父が娘のヌード写真を所持、殺人事件に発展

性犯罪や家庭内暴力被害者による殺人

 殺人はいかなる時も許されない。だからこそ法が存在する。今回の件はジェイドに別の闘い方があったはず。一方で、この事件はこれまでに起こってきた暴力被害者の女性たちの事件を思い起こさせる。

 2018年には、ロシアで父親から性的、身体的、精神的暴力を受け続けていた3姉妹が父親を殺害して逮捕された事件が大きな議論を呼んだ。姉妹は自宅に閉じ込められており、別居していた母親や隣人は警察に相談していたが、無視されたと主張している。

 ロシアではDVを取り締まる法律がなく、年間で推定1万4,000人の女性がDVによって死亡している。にもかかわらず、2017年にはウラジーミル・プーチン大統領が、病院治療を必要としない家庭内暴力を非犯罪化。

 ロシアの国中から姉妹たちを支援する声や、家庭内暴力に関する法律を求める声が高まった。姉妹たちの行動は正当防衛だったとする見解もあり、裁判は続いている。また、露Media Zonaによる2019年の調査によると、ロシアで2016年から2018年に計画的殺人で逮捕された女性の80%近くが、加害者から自分を守るために犯行に及んだという。

 また日本でも、交際相手の男に撮影された性行為の動画を削除するよう求めるも拒否され、拡散されたと思った当時高校3 年生の女が、6歳年上の男を殺す事件が、今年1月に起こった。女は懲役9年となった。殺人という罪は重いことは間違いない。同時に、女性への性的暴行には無罪判決が出たり、社会で性暴力に対する法整備や支援が進んでいなかったりするなかで、性暴力被害を警察に届けること自体がハードルが高ったりする背景も認識しなくてはいけない。判決でも、「被害者の不誠実な対応が被告に苦痛や恐怖を与え、精神的に追い詰めてしまった側面もある」と述べられたという。

 法が機能せず、社会が被害者を守らない場合は、最悪なことが起こり得る。法の目的は何なのか、存在する意味は何なのか。社会全体で改善していく必要がある。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.