キャットウーマンやMCU俳優として知られるミシェル・ファイファーが、過去に俳優活動を休止していた理由には「小1の壁」があったよう。(フロントロウ編集部)

ミシェル・ファイファー、仕事と育児両立の「現実」を語る

 映画『バットマン リターンズ』のキャットウーマン役や、『アントマン』シリーズのジャネット・ヴァン・ダイン役などで知られ、これまでにアカデミー賞に3度のノミネート経験がある俳優のミシェル・ファイファー

 現在64歳の彼女には29歳と27歳の子どもたちがおり、育児のために演技の仕事をセーブしていた時期もある。しかし演技から距離を置くのは、彼女が心から望んでいたというわけではなかったよう。米ポッドキャスト番組『The Skinny Confidential Him & Her』で、「仕事から離れることは、私の計画ではありませんでした」と話すミシェルは、世界中の多くの親が直面する問題に、彼女もぶち当たったことを明かした。

 「でも(仕事をするための)条件、つまり “撮影はどこ?どのくらいの期間?撮影の時期は?子どもを連れていける?学校がある時期?”といったものによって、とても困難な状況になってしまった。正直にいって、それによって私を雇うことは難しすぎたんです」

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 片方の親が仕事を少なかれ多かれ犠牲にして育児を行ない、片方の親が仕事に差し支えない程度に育児に参加するという構図は、子どもを育てている多くの家庭で見られる。俳優とプロデューサーというミシェル夫妻がどのように育児をしていたかは分からないが、彼女の苦労に共感する親は多いだろう。しかもミシェルは、家事や育児を手伝ってくれる人材を雇う経済的余裕があり、定時勤務よりも融通が利く職業。そんな彼女でもこの状態だったのだから、一般家庭の苦労の大きさは想像にたやすい。

ミシェルがぶつかった「小1の壁」

 結果的に仕事をセーブすることになったが、ミシェルは「それで良いと思っていましたが」とも語る。そんな彼女によると、じつは仕事を続けるのが難しくなったのは、子どもたちが学校に通うようになってから。彼女も「小1の壁」にぶつかっていたよう。

 「正直に言って、どれだけの時間が過ぎたのか気づいていませんでした。(オファーなどを)読んではいたのですが、家を離れたい、子どもと離れたいと思うほど好きなものもなかったんです。子ども達が幼い時には、本当に小さい頃の話ですが、自分と一緒に連れて行くことができました。(娘の)クラウディアをレストランに連れて行って、子ども用の椅子に座らせておけた。どこにでも連れて行けました。でも子ども達が学校に通うようになると、私は子どもたちの人生やルーティーン、友達の輪を邪魔したくなかった。なので、夏休み時期なら撮影に参加するというなことが続きました。そして結局、難しくなってしまったんですね」

画像: 2007年に映画『スターダスト』のプレミアに参加したミシェルと娘のクラウディア。

2007年に映画『スターダスト』のプレミアに参加したミシェルと娘のクラウディア。

 「小1の壁」は、子どもが保育園児だった時より、小学校に入学してからのほうが育児と仕事の両立が難しくなることを指す表現。アメリカと日本で育児制度の状況が異なるため、原因は同じではないものの、子どもが小学生になった時のほうが仕事を続けづらかったというのは、ミシェルも実感するところのよう。

 アメリカの映像業界において、最近では、スタッフやキャストが子ども達を連れてこられるように、子ども用の控え室が用意されている現場も増えている。しかし子どもたちが自立し、でも保護者の世話もまだ必要な段階では、外で働くことが難しくなる。

 そんなミシェルの俳優復帰を後押ししたのもまた、子どもたちだったという。成長してきた子ども達に「ママ、仕事復帰しないの?」と言われ、「どういう意味?私が家にいるのは素晴らしくない?」と返答したとのこと。

 ミシェルは俳優という特殊な仕事をしていたため、復帰をしようと考えて、それが可能だったが、一度空白が出来た履歴書でキャリアに復帰することは難しいことが多いという現実もある。その点も社会問題として解決していく必要がある。

(フロントロウ編集部)

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