第95回アカデミー賞の主演女優賞に『To Leslie(原題)』のアンドレア・ライズボローが“サプライズ選出”されたことを受けて、同アワードを主催する映画芸術科学アカデミーが売り込み活動の際にルール違反がなかったか検証することを発表した。(フロントロウ編集部)

アカデミー賞のサプライズ選出をめぐってルール違反がなかったか検証

 先日、映画界で最も栄誉ある賞と言われるアカデミー賞のノミネーションが発表され、主演女優賞にケイト・ブランシェット(『TAR/ター』)、アナ・デ・アルマス(『ブロンド』)、ミシェル・ウィリアムズ(『フェイブルマンズ』)、ミシェル・ヨー(『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)と並んで、『To Leslie(原題)』のアンドレア・ライズボローが“サプライズ選出”された。

画像: アカデミー賞のサプライズ選出をめぐってルール違反がなかったか検証

 今、そのアンドレアの選出をめぐってひと波乱起きている。他の主要な映画アワードとアカデミー賞のノミネーションは必ずしも一致するわけではないが、5人のなかでアンドレアだけがアカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞や英国アカデミー賞(BAFTA)にノミネートされていないことから、多くの人にとって彼女がオスカー候補になったことは“予想外”であった。

 じつは、アンドレアがサプライズ選出された背景には、俳優仲間を巻き込んだ巧妙な“口コミ”キャンペーンがあった。VarietyやThe Hollywood Reporterといったアメリカの大手メディアによると、アンドレアと『To Leslie』のマイケル・モリス監督らはアカデミー賞にノミネートされるために、投票期間中にスタジオの後ろ盾なしにキャンペーン(売り込み活動)を行ない、その結果、グウィネス・パルトロウやケイト・ウィンスレット、エドワード・ノートン、シャーリーズ・セロン、ジェニファー・アニストン、さらに彼女と一緒にアカデミー主演女優賞にノミネートされたケイト・ブランシェットといった著名人がSNSなどを通じて彼女の演技をこぞって称賛し、宣伝にひと役買ったという。

画像: 左からグウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット、ケイト・ブランシェット。

左からグウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット、ケイト・ブランシェット。

 投票権を持つアカデミー会員に映画の良さをアピールをして見てもらうのは悪いことではないが、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは、選考対象となる映画を宣伝するために、規則の範囲外の方法でアカデミー会員に直接連絡することを原則禁止している。『To Leslie』に対しては、アカデミー会員に映画を見るよう何度も電話やメールを送るといった「アグレッシブな戦術」を用いたという声もあることから、映画芸術科学アカデミーは、売り込み活動にルール違反がなかったか検証することを明らかにした。

 以下、映画芸術科学アカデミーの声明の全訳。

 「賞のコンペティションが公正かつ倫理的な方法で行われるようにすることがアカデミーの目標であり、私たちは包括的な賞のプロセスを確保することに尽力しています。今年の候補者をめぐるキャンペーンの手順を見直し、ガイドラインに違反していないことを確認すると同時に、ソーシャルメディアやデジタルコミュニケーションの新時代に、ガイドラインの変更が必要であるかどうか判断するために、検証を進めているところです。私たちは、ノミネーションと投票手続きの完全性に信頼を置き、優れたパフォーマンスを実現するための真の草の根キャンペーンを支援します」

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