ブレンダン・フレイザーがオスカー受賞で涙のカムバック
現地時間3月12日、第95回アカデミー賞の授賞式が開催され、映画『ザ・ホエール』で重度の肥満に苦しむ英語教師のチャーリーを演じたブレンダン・フレイザーがアカデミー主演男優賞を受賞した。
映画『ハムナプトラ』シリーズなどの出演作で知られるブレンダンは、ハリウッドを代表する売れっ子俳優のひとりだったが、セクハラ被害にあってうつ状態に陥ったことが原因で徐々に映画出演が減っていき、しばらくのあいだ表舞台から姿を消していた。
以下、ブレンダンのスピーチの全訳。
「マルチバースってこういう感じなんですね!このような名誉を与えてくれたアカデミーと、このような大胆な映画を製作したスタジオA24に感謝します。ダーレン・アロノフスキーが私にクリエイティブな命綱を投げて、私を『ザ・ホエール』という船に乗せてくれたことに感謝しています。この話は私たちの灯台であるサミュエル・D・ハンターが書いたものです。あなたがクジラ(※映画のタイトルであるホエールは日本語でクジラ)のように大きな心をむき出しにしてくれたおかげで、他の誰も真似できないような方法で私たちはあなたの魂の中を見ることができました。この部門で皆さんと並んで名を連ねることができ、光栄です。ホン・チャウ(※『ザ・ホエール』の共演者でアカデミー助演女優賞にノミネートされた)の才能と同じ深さまで泳げるのは、クジラだけであるということをお伝えします」
「私がこの仕事を始めたのは30年前ですが、簡単にはいきませんでした。立ち止まるまで、才能に感謝することもありませんでした。評価してくださってありがとうございます。他のキャストがいなければ成し遂げることはできませんでした。まるで海の底でダイビングをしているような感覚です。水面まで続く空気の管を、息子たちや私の人生に関わる人たちが見守ってくれていました。(家族らの名前を呼んだあと)一人一人に感謝します。本当にありがとうございます」
ちなみに、会場には映画『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』でブレンダンと共演した俳優のドウェイン・ジョンソンの姿もあった。
『ハムナプトラ2』はドウェインの映画デビュー作で、元プロレスラーから俳優に転身したばかりの自身の出演を支持してくれたブレンダンにドウェインは今でもとても感謝しているといい、ブレンダンのカムバックを誰よりも喜ぶと同時に、昨年11月に米MTV Newsのインタビューに応じた際に「彼(ブレンダン)には行けるところまで行ってほしいと思っています。彼がアカデミー賞の舞台に立ち、オスカーを掲げる姿を見たいです」と、ブレンダンのアカデミー賞受賞を切に願っていることを明かしていた。(フロントロウ編集部)