『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジェイミー・リー・カーティスが、“女性のノミネートの増加”と、“カテゴリーを性別で分けないこと”の2つについて、考えを話した。(フロントロウ編集部)

ジェイミー・リー・カーティス、二元論廃止の難しさに思い

 2023年の第95回アカデミー賞は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の圧勝。作品賞を含む7部門で受賞を果たした。助演女優賞では、ジェイミー・リー・カーティスとステファニー・スーの2人がノミネートされ、ジェイミーが受賞。

 これまでに多くの映画に出演し、画面の外でも気さくで陽気な性格から人気が高いジェイミー。そんな彼女が、受賞後にプレスルームでメディアからの質問を受けた際に、女性の活躍と、性別で分けないことは共に重要である一方で、そこにはトリッキーな問題もあると語った。

 今年のアカデミー賞では、75人の女性がノミネートされた。そのことについてどう思うかと質問されたジェイミーは、少し黙って考えた後に、「現実感がないですし…、誇りに思います。もちろん、より多くの女性がノミネートされてほしいと思っています」とコメント。続けて、こんな意見を口にした。

 「そして、包括性もより大きな問題になってきます。二元論の場合に、どうすべての人を含めるかというのは非常に難しいです。トランスジェンダーの娘の母親として、それを理解しています。カテゴリーからジェンダーをなくすということについては、多くの女性から機会を奪ってしまうのではないかということも懸念しています。それ(女性から機会を奪わないこと)は私が力を入れてきたことなので。よって、これは複雑な問題ですが、最も重要なことは包括性と、より多くの女性を、ということだと思います」

性別で分けないことにはポジティブ・ネガティブな両側面がある

 近年、映画や音楽のアワードで女性/男性でカテゴリー分けすることへ疑問の声があがり、統合するアワードも出てきている。その理由は、女性と男性に分類されないノンバイナリーの人々も候補に入れる可能性を確保する目的や、シンプルに、性別で分ける必要がないと感じる人が増えたから。

 それは良い側面もある一方で、昔から性別で分けられていない部門では女性の候補や受賞が極めて少ない歴史を持つアワードは多く、結局男性候補者/受賞者で占められることになってしまっては、状況は後退することになってしまう。事実、アカデミー賞でも長らく性別で分けられていない監督賞で女性の受賞が少ないことは問題となっており、今年は女性監督のノミネートすらなかった。

 また、イギリスの音楽の祭典BRIT Awardsでは今年、2022年から性別で分けられなくなった「今年のアーティスト賞」で、候補者が男性のみに。これについてリナ・サワヤマは、「部門全部を男性にしないためには候補者の数をより多くすることが重要です」と、改善のために指摘している

 この問題には、現時点で明確な1つの答えというものはない。ジェイミーはインタビューの最後に映画のタイトルにかけて、「より多くの女性をエブリウェア・エニタイム・オール・アット・ワンス(より多くの女性をすべての場所でいつでも一気に)」と話した。

(フロントロウ編集部)

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