ディラン・マルヴェイニー、バズ・ライト起用が保守派の間で炎上
トランスジェンダーのインフルエンサーであるディラン・マルヴェイニーを巡って、アメリカで騒動になっている。ディランは自身のジェンダー移行の道のりをSNSで公開し、TikTokで1,000万人以上のフォロワーを持つインフルエンサー。2023年2月のグラミー賞授賞式にもゲストとして招待されるなど、ショービズ界でも知名度を広げている。
そんななか、最近、2つのブランドがディランと関係を持ったことを理由に保守派の間で炎上している。
1つめのブランドは、ビールブランドのBud Light(バド・ライト)。同社はディランがジェンダー移行してから1周年を迎えた2023年3月にディランとタイアップ企画を組み、可能な限り多くのバド・ライトを運ぶ姿をSNSにアップすることで、1万5,000ドル(約200万円)が当たるチャンスがある“Easy Carry Contest”というキャンペーンを展開。
コメント欄にパリス・ヒルトンから「乾杯」と書き込みが入るなか、保守派のバド・ライト愛好者は大反発。理由は、バド・ライトがトランスジェンダーのディランとコラボしたから。ドナルド・トランプ元大統領の熱烈な支持者であるミュージシャンのキッド・ロックは、トランプ元大統領の選挙スローガンである「MAGA」という言葉が描かれた帽子を被りながら、バド・ライトを銃で撃つ大げさな動画を投稿した。
また、バド・ライトのライバルであるCoors Lightに乗り換えるという人も多数登場。ただ、Coors Lightの親会社であるMolson Coorsは長年LGBTQ+コミュニティを支持してきた企業のため、この“ボイコット”はオンライン上で失笑を誘っている。
ナイキはディランへのヘイトを受けコメント発表
保守派から反発を買っている2つめのブランドは、スポーツブランドのNike(ナイキ)。
ディランは4月に入ってから、ナイキのウィメンズ・ラインのレギンスとスポーツブラを身に着けた姿をインスタグラムに投稿。シンガーのアリアナ・グランデや『フル・ハウス』のジョディ・スウィーティンからいいねがつくなか、この投稿をスポンサーしたナイキに保守派から不満が集まることに。そして、あまりにヘイトに満ちたコメントに、ナイキが公的にコメントを発表することとなった。
ナイキは公式インスタグラムに自身が投稿した写真にコメントを付け足す形で、「あなたが存在するコミュニティが成功するためにも、あなたは不可欠な要素です!前向きで建設的な議論に貢献するコメントをお待ちしています。優しくなって、インクルーシブになって、 お互いに励まし合いましょう。ヘイトスピーチやいじめ、そして、多様で包括的なコミュニティの精神に反するその他の行動は削除の対象となります」とコメントした。
ちなみにディランはこれまでに、Kate Spade、Ultra Beauty、Instacartといったブランドとコラボしているが、そのたびに保守派から反感を買っている。
アメリカではトランスジェンダーの人々に対する差別や誤った情報の拡散が深刻になっており、政治の世界では、保守派議員の間でトランスの人々の権利を制限する法案の提出が政治利用されている。(フロントロウ編集部)