ハリー・スタイルズが約5年ぶりの来日公演を開催。開演前のSEでワン・ダイレクションの「Best Song Ever」が流れたときには大合唱が起きたが、ハリー・スタイルズにとって1Dとしての活動は、ソロとして世界的なポップスターになるまでのプロセスの最初のチャプターに過ぎなかった。彼が1Dという巨大すぎるグループを7年前に活動休止させたあとで、いかにここ日本においてソロでも愛される存在になったかということは、東京・有明アリーナにて開催された2日間にわたる公演を即完させたという事実が既に証明していたものの、ステージを観たら、ハリー・スタイルズというソロアーティストがスターたる理由は明らかだった。日本愛に満ちたMCも数多く披露された、3月24日に行なわれた1日目の模様をレポート。(フロントロウ編集部)

※写真は3月25日(土)のもの。

約5年ぶりに日本のステージに立ったハリー・スタイルズ

 定刻を少し過ぎた頃、水色と黒のストライプ柄のセットアップという、彼だからこそ着こなせる衣装に身を包んだハリー・スタイルズがステージに登場した。観客の大歓声が鳴り止まないなか、1曲目に披露されたのは『ハリーズ・ハウス』のオープニングトラックである「Music for a Sushi Restaurant」。ポップな衣装に負けない存在感を放ちながら、ハリーは左右の観客席に手を振って、集まった観客を歓迎してみせる。

 4年前に日本を訪れた際には6週間にわたって滞在していたこともあるハリーにとって、簡単な日本語はお手のもの。「ただいまー!」と日本語で挨拶して、5年ぶりに帰ってきたことを告げると、続けてセカンドアルバム『ファイン・ライン』から「Golden」を披露したときには、1曲目の“寿司レストラン”という曲名にちなんでか、「いらっしゃいませー!」とこちらも日本語で挨拶した。

 パンデミックもあって『ファイン・ライン』での来日公演は実現しなかったため、同作の楽曲がここ日本で披露されるのも今回が初めて。「こんにちは、東京!元気ですか?」というこちらも日本語のMCを経て、3曲目には同作より「Adore You」が日本で初披露されたが、「君を愛することをさせて」という歌詞を観客が合唱し、ハリーが「オーケー」と返すという、海外の公演では当たり前の光景となっているこの曲での“定番のノリ”を、集まった多くの観客が分かっていたことも印象的だった。

 「Adore You」を終えると、MCの時間に。ハリーはここでも流暢な日本語を披露して、なんと、WBCで優勝したばかりの野球日本代表を祝福してくれた。

 ソロアーティストとしてのハリーの楽曲の魅力は、思わずうっとりしてしまうようなロマンチックな音楽と、歌詞にこそある。とりわけそういった歌詞の魅力がより一層際立つのが、よりスローな楽曲たち。MCを挟んで、「もう少しこのまま走らせていようか」と、ドライブデートについて歌う「Keep Driving」から、「僕がブルーバードなら 君の元へ飛んでいけるのに」と歌う「Daylight」と、『ハリーズ・ハウス』収録の2曲から、彼がジャンルレスに愛されていることを証明するかのごとく、ロックスターのようなセクシーな佇まいで披露された、「愛する君」という歌詞が繰り返されるセルフタイトルのデビューアルバム収録曲の「Woman」へと続いたこのセクションは、この日最もロマンチックだった時間の1つ。

 このセクションを終えると、ハリーは「すみません、僕の日本語はまあまあです。ごめんなさい」と日本語で語ったあとで、「12年間サポートしてくれてありがとう」と、1D時代からのファンにも感謝を伝えた。

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