ヘンリー王子が法廷で証言
ハッキングなど違法な手段で個人的な情報を収集したとして英The Daily Mirrorの発行元であるMirror Group Newspapers(以下MGN)を訴えたイギリス王室のヘンリー王子が裁判に出廷し、証言した。なお、王室の主要メンバーが証言台に立つのはエドワード7世以来、約130年ぶり。
ヘンリー王子は自身の携帯電話がハッキングされているのではないかと疑いを持つようになった理由について、55ページに及ぶ陳述書のなかで、「私は携帯電話にボイスメッセージがあることを知らせるマークが表示されないかぎり、ボイスメッセージを確認することはありませんでした。そして、そのマークはボイスメッセージを聞く前に消えてしまうこともありました。プライベートでも仕事でも『ボイスメッセージを聞いていないのか』と言われることが多々ありました。また、そのボイスメッセージを探そうとして見つからなかったということもありました」と述べている。
この日、証言台に立ったヘンリー王子は、自分について書かれた数千もの記事が幼少期から思春期にかけて「破壊的な役割を果たした」と主張。昔のことに関しては記憶が曖昧な部分があり、“どの記事”と断定することはできないが、自分について書かれた記事の多くを実際に読んだことがあり、幼い頃から苦しめられてきたことや、信頼する数人にしか共有していなかった情報が公になったことが何度かあり、周囲の人たちに不信感を抱くようになったことなどを明かした。
また、王室を離脱した原因はメディアによる過剰で悪意ある報道にあるとして、「タブロイド紙が私生活のあらゆる面に侵入し、憎悪を煽り、嫌がらせをし続けたことが大きな原因であり、私たちの精神衛生やウェルビーイング(心身と社会的な健康と幸福)に壊滅的な影響を与えたのです。また、私たちは息子(アーチー王子)の安全や安心についても非常に心配していました」と語った。
ちなみに、ヘンリー王子は1996年から2010年にかけて掲載された約140の記事に違法な手段で得た情報が含まれていると主張しているが、反対尋問でMGNの弁護士から「それらの記事のどの部分が違法な手段で得た情報なのか」を尋ねられると、「記事を分解してどの部分が違法な手段で得た情報で、どの部分がそうでないのかを明らかにするのは証人の役割だとは思いません。記事を書いたジャーナリストがやるべきことではないでしょうか」と回答。自身が“情報の出どころが怪しい”と指摘した特定の記事について「誰の電話がハッキングされたのか」と聞かれた際も、「わかりません」と答えるなど、相手側の弁護士に追い詰められるような場面が何度かあった。(フロントロウ編集部)