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映画『バービー』に登場するミッジ。エメラルド・フェネル演じるキャラなのだが、劇中でなんだか雑な扱いを受けているその理由とは…!?(フロントロウ編集部)

※この記事には映画『バービー』のストーリーとは関係のない軽いネタバレが含まれます。

映画『バービー』でエメラルド・フェネル演じるミッジにはモデルがいる

画像1: 映画『バービー』でエメラルド・フェネル演じるミッジにはモデルがいる

 グレタ・ガーウィグ監督の「観る人が自らをバービーやケンに重ねられる(ように)」という思いから、多種多様なバービーが登場する映画『バービー』。バービーランドはたくさんのバービーたちが指揮している国で、バービーたちは毎晩バービーハウスに集まって楽しくパーティーする。

 完璧なハーモニーのもと暮らしているバービーたちだが、ひとりだけ、超雑な扱いを受けるバービーがいる。それが、ミッジ。長編監督デビュー作『プロミシング・ヤング・ウーマン』でアカデミー脚本賞を受賞した俳優のエメラルド・フェネルが演じる。それぞれのバービーに「このバービーは大統領!」「このバービーは売れっ子作家!」などと肩書が書かれたキャラポスターでは、「彼女はミッジ!」という説明のみ。劇中では、ミッジが画面に映ろうとするたびにカメラが移動するという“雑な扱い”いじりを受ける。

画像2: 映画『バービー』でエメラルド・フェネル演じるミッジにはモデルがいる

 エメラルド自身はミッジについてプロダクションノートでこう語る。「ミッジが画面に映ろうとすると、カメラが毎回彼女を映さないように避けるというものがあるんです。カメラが自分から逃げるように動くというのは、女優としての自尊心に多少の傷がつくことでしたが、自分の役割は分かっていました!」。このミッジというバービーは、マテル社が発売した実在のバービー。では、こんな雑な扱いを受けるとは、一体どんな歴史のあるのだろうか?

2003年にアランとの子どもを“妊娠”したミッジだが...

 1963 年に初めて発売されたミッジことマーガレット・ハドリー・シャーウッドは、当初は赤毛でそばかすがありやや薄化粧という容姿で、バービーの親友という設定だった。ただ、当時はあまり人気がでなかったのか、よりバービーにルックスが近いドールに“親友”の座を奪われてしまった。その後、1988 年に「カリフォルニア ドリーム バービー セット」というセットの一部として再び店頭に並ぶことになり、1990年代にはウエディングドレス姿で登場。そして2002年、お腹の中に格納された赤ちゃんを“出産”できる機能がつくことに。「妊婦バービー(※正式には妊婦ミッジ)」として知られるようになったこのミッジは、大きな物議を醸すことになる...。

画像: 2003年にアランとの子どもを“妊娠”したミッジだが...

 「ハッピー・ファミリー」と題されたセットには、ベビーベッド、おむつ、おむつ替えテーブル、ベビーモニターがついてきて、マグネットで取り外しができるようになっているミッジのお腹にはプラスチック製の赤ちゃんが収まっていて、「出産」することができる作り。さらに左手薬指にはゴールドの結婚指輪もペイントされている。ちなみにミッジは映画にも登場するアランの妻という設定。

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 マテル社が「このギフトセットには、女の子が新しい赤ちゃんの到着をおままごとで演じる演じるために必要なものがすべて揃っています!」という宣伝文で2003年に発売した妊婦ミッジには、「女の子にステレオタイプを押し付けている」「「10代の妊娠を美化して促進するのではないか」などと苦情が殺到。マテル社は2005年に妊婦ミッジを製造中止とした。

 誕生してはいなくなるという悲しい経験を多くしているミッジだが、逆に現在は“幻の人形”として、妊婦ミッジはオンラインでプレミア価格にて売買されている。バービー好きなガーウィグ監督がネタとして登場させたことから見ても、好きな人は大好きな影の人気者なのだった。

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