テレワーク中に従業員の作業実態を監視するための新技術を導入する雇用者が増えるなか、慢性的なサボり疑惑があった従業員をクビにした保険会社インシュアランス・オーストラリア・グループ(IAG)が“サボりの実態”を把握するために取り入れた方法とは。

「たまに買い物に行くことはありますが…」

 豪保険会社IAGがサボり疑惑のあった女性の勤務実態を調査するために取り入れたのが、キーボードを打った回数を監視できるテクノロジー。

 約18年勤務していたという女性は、自宅勤務をしていたここ数年で与えられたタスクが未達となる案件が目立ったため、マネージャーが女性に指導を行なうとともに勤務状況を調査。

 その結果、調査した49日中、47日は就業開始時刻を守っていなかったこと、29日は就業終了時刻前にいなくなっていたこと、4日は全く仕事をしていなかったことが分かり、さらに、キーボードのキーを物理的に押した回数を計る調査では、1時間に平均54回しかキーが押されてなかったことが判明。会社側は、「彼女の役割にはデータ入力と様々な利害関係者とのやり取りが必要なため、1時間あたりのキーストロークは500回以上のはず」と、豪フェアワーク委員会の裁判資料の中で明かした。

 この数字を見せられた女性は、「このデータは信じられません。仕事のスピードが少し遅いことはありますが、仕事をしなかったことはありません。たまに買い物に行くことはありますが、一日中というわけではありません」と答えたというが、働いていたことを示す証拠を提示することができなかったため、複数回の面談後に解雇となった。

 2023年2月に解雇された女性は不当解雇の訴えを出したが、前述のデータが証拠となり、2023年7月21日に「解雇は不当、不合理ではなかった」として、訴えは棄却された。

 

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