「Cover The Athlete」キャンペーンは、女性アスリートに対する報道の在り方を世間に改めて問うた。(フロントロウ編集部)

「くるっと回って衣装について教えてもらえますか?」

 女性アスリートが試合や練習の内容とは関係ない、恋愛事情や体型について記者に質問されている光景を見たことがあるだろうか? では、男性アスリートに対しても同じような光景を見たことがあるだろうか? 2015年にスポーツ報道での男女差問題を提起したキャンペーン「Cover The Athlete」があった。

 「Cover The Athlete」は、X(旧Twitter)上で「 #CoverTheAthlete」のハッシュタグとともに展開された啓発キャンペーン。YouTubeにて公開された「もし女性アスリートが普段聞かれている質問を男性アスリートにしてみたら」というコンセプトの動画は185万回以上再生され、アスリート取材に潜む性差別に関する議論を大いに盛り上げた。

 動画内では、男性アスリートが「世界中の誰とでもデートできるとしたら誰がいい?」「体毛を処理すると水泳で有利だと思うが、性生活だとどうか?」「くるっと回って衣装について教えてもらえますか?」など、競技とは関係のない質問を記者から受ける。

 男性アスリートがこのような質問をされることはあまり馴染みがないため、視聴する側は違和感を覚えるはず。そんな視聴者の感情を表すように、動画内の男性アスリートらは、困惑、呆れ、苛立ちなどのネガティブな感情を示す。

 性別が変わる“だけ”で記者の質問ががらりと変わり、さらに見ている人たちの反応も変わるという性差。

 ちなみに、動画は「女性アスリートに対する質問がいかにばかばかしいか」を明確に示すために編集されたもので、動画に登場する男性アスリートらは実際にこのような質問をされたわけではないという。しかし、実際にこのような質問をしたら男性アスリートやファンからの反応は温かいものではなことは明白だ。

 また、動画内で使われた質問はすべて、プロの女性アスリートに対して実際に投げられたものが選ばれている。

 「Cover The Athlete」に似たものとして、女優や女性ミュージシャンに対し服装や食事のことばかりではなくもっと本質的な質問をすべきだと訴える、「Ask Her More」というキャンペーンも2014年に行なわれている。

This article is a sponsored article by
''.