「もう夫婦じゃない。でも、まだ家族」。そんな一文が、これほど静かに胸に残る映画があるだろうか。アイスランドの注目監督フリーヌル・パルマソンの最新作『きれっぱしの愛』が、2026年7月3日より全国順次公開されることが決定した。配給を手がけるのは、ギャガが新たに立ち上げたアートハウス映画レーベルNOROSHI。世界の映画祭で評価を集めてきた作家の最新作が、満を持して日本に上陸する。
本作が描くのは、離婚後も「家族」であり続ける元夫婦と子どもたちの日常だ。ドラマチックな事件は起こらない。移ろう季節のなかで交わされる何気ない会話、ふとした沈黙、笑いともため息ともつかない間。その積み重ねが、かつて確かに存在した愛と、壊れてしまった関係、そしてそれでもなお残り続ける感情を浮かび上がらせていく。
パルマソン監督ならではの私的な演出も、本作の大きな魅力だ。元夫婦役を演じるのは、サーガ・ガルザルスドッティルとスベリル・グドナソン。そして監督自身の3人の実子と、愛犬パンダが“そのままの役”で出演する。演技と現実の境界が溶け合うことで、画面には作り物ではない体温が宿り、ブラックユーモアと温かさが同居する独特の空気が生まれている。
その完成度は国際的にも高く評価された。第78回カンヌ国際映画祭への正式出品を果たし、第98回アカデミー賞ではアイスランド代表作に選出。さらに、愛犬パンダがカンヌの名物賞「パルム・ドッグ賞」を受賞し、“スター犬”誕生という思わぬ話題も呼んだ。
あわせて解禁されたメインビジュアルも印象的だ。家族写真から父の姿だけが切り取られ、転がり落ちるように配置されたその構図は、皮肉とユーモアをたたえながら「不在」を雄弁に物語る。ティザー予告では、子どもたちの無邪気な会話とピアノの旋律が重なり、静かで豊かな余韻を残す。壮大な自然とささやかな感情が共存する『きれっぱしの愛』は、観る者それぞれの記憶にそっと触れる一作になりそうだ。

〈ストーリー〉
北欧・アイスランドの田舎町。芸術家のアンナは、しっかり者の長女イーダ、わんぱくでいたずら好きな双子グリームルとソルギルス、そして愛犬パンダと暮らしながら、芸術家としての道を模索していた。若くして結婚したものの、今や<もう夫婦ではなくなった>はずの元夫マグヌスは、いまだに情を断ち切れず、何かと理由をつけては家を訪ね、食卓を囲み、ピクニックにまで付き合う始末。気がつけば、まるで<まだ家族>であるかのような日常を再び送るようになるが――。
脚本・監督:フリーヌル・パルマソン 『ゴッドランド/GODLAND』
出演: サーガ・ガルザルスドッティル、スベリル・グドナソン
配給:NOROSHI、ギャガ/原題:Ástin sem eftir er(英題:The Love That Remains)/2025 年/アイスランド、デ
ンマーク、スウェーデン、フランス/カラー/ビスタ/5.1ch/109 分/字幕翻訳:松岡葉子/G
c STILL VIVID, SNOWGLOBE, HOBAB, MANEKI FILMS, FILM I VÄST, ARTE FRANCE CINEMA
公式 HP https://gaga.ne.jp/ai_kireppashi_NOROSHI/ X、インスタ: @noroshi_gaga
2026 年 7 月 3 日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開















