自分の身体やプレジャーについて、誰かと話したことってある?
女性の性について、気になっていることがあっても、なかなか人には話しにくいもの。「自分の感じ方は普通なの?」「パートナーにどう伝えればいい?」など、誰に聞けばいいのかわからない疑問を抱えている人もいるはず。
そこで今回は、ドイツ発のセクシュアルウェルネスブランド「Womanizer(ウーマナイザー)」のエリザベス・ノイマンさんとヴェレーナ・ジングマンさんに取材。ブランド誕生の背景や女性のプレジャーをめぐる研究はもちろん、女性の性について気になるあれこれを聞いた。(フロントロウ編集部)
Womanizerはどうやって生まれた?

2014年、ドイツ人発明家のミヒャエル・レンケは、多くの女性が男性に比べてオーガズムに到達しづらいという問題に着目し、妻のブリギッテとともに新たな技術の開発に取り組み始めた。
当時は、女性のプレジャーやオーガズムへの理解はまだ十分とはいえず、クリトリスへの刺激も十分に重視されてこなかったという課題があった。こうした状況を背景に開発されたのが、空気の波を利用し、直接触れることなく刺激する「Pleasure Air Technology(プレジャーエアーテクノロジー)」。従来の振動による刺激とは異なるこの技術によって、最初のWomanizerが誕生した。
現在、Womanizerはセクシュアルウェルネス企業Lovehoney Groupのブランドのひとつとして、この技術を生かした製品開発や研究を続けている。
女性のプレジャーは、世界でどう変わってきた?
女性のプレジャーをめぐる意識は、世界でどう変化してきたのか。そして、今も残されている課題とは?
Womanizerのユーザーリサーチ責任者でセクソロジストのエリザベス・ノイマンさんと、グローバルPR責任者のヴェレーナ・ジングマンさんに、意識の変化や研究の現状、そして日本の女性たちへのメッセージを聞いた。
<プロフィール>
エリザベス・ノイマンさん
Womanizer ユーザーリサーチ責任者/セクソロジスト

ヴェレーナ・ジングマンさん
Womanizer グローバルPR責任者

ーー女性のプレジャーへの意識は、世界で変わってきているって本当?
エリザベス・ノイマンさん(以下、エリザベスさん):
はい、確実に変化していると思います。ここ12年ほどで特に大きく変わったのは、女性のプレジャーそのものが、より可視化され、ひとつの大切なテーマとして認識されるようになったことです。
Womanizerが誕生した2014年頃には、ドイツを含むさまざまな国で、SNSやオンラインメディアを通じて、女性の身体やセクシュアリティをめぐる議論が活発になっていました。性的同意やボディポジティブ、自分自身の意思や選択を尊重すること、セルフプレジャーといったテーマが、若い世代を中心に少しずつ社会の中で語られるようになっていきました。
それに伴い、とても重要な変化も起きたと思います。それは、女性にも自分自身の欲求があり、そのプレジャーは大切なものであり、『自分にとって何が心地よいのか』を自分自身のために探求していいという考え方が、少しずつ受け入れられるようになったことです。

その変化は、プロダクトにも表れています。セックストイは以前よりずっとメインストリームな存在になり、デザイン性も高まり、ポップカルチャーの中でも目にするようになりました。
もちろん、目に触れる機会が増えたからといって、すべてのタブーがなくなったわけではありません。今でも『セクシュアリティとはこうあるべき』という期待や思い込みはありますし、十分な性教育を受けられなかったり、プレジャーについて率直に話せる機会が少ないまま大人になる人もたくさんいます。
それでも私が前向きに感じているのは、以前よりも多くの人が、既存の『セックスや性はこういうもの』という型に自分を合わせるのではなく、『自分にとって本当に心地よいものは何だろう?』と考えていいのだと思えるようになってきたことです。
「これって普通?」女性のセクシュアリティについて、知っておきたいこと
女性の性に「正解」はある?知っておきたい身体と感じ方の違い
ーー女性の性について、意外と知られていないことは?
エリザベスさん:
女性のセクシュアリティについては、今でも『こうあるべき』という一定のイメージが残っています。たとえば、挿入こそが“本当のセックス”であり、女性も挿入だけでオーガズムに達するものだ、という考え方です。
でも実際には、多くの女性にとって、快感やオーガズムを得るうえでクリトリスへの刺激がとても重要です。つまり、これまで一般的に語られてきたセックスのイメージが、必ずしもすべての女性の身体や感じ方に合っているわけではありません。

ポルノも、こうしたイメージに影響を与えることがありますが、あくまで演出されたエンターテインメント。実際のセックスや人の反応は、もっと多様です。
また、女性の性欲についても、『これくらいが普通』というイメージを持たれがちです。性への関心が少なければ『淡白なのでは』と思われたり、反対に性欲が強ければ『積極的すぎる』と見られたりすることもあります。
こうしたイメージに触れることで、「自分は周りと違うのではないか」「自分の感じ方は普通ではないのでは」と不安になる女性もいると思います。でも実際には、性欲の強さも、興奮の仕方も、オーガズムの感じ方も、性的な好みも、人によってさまざまです。
「自分は人と違うのかも?」と思ったときに大切なこと
ーー性への関心や感じ方が人と違うとき、どう考えればいい?
エリザベスさん:
大切なのは、セクシュアリティは本当に一人ひとり違うものだと知ることだと思います。
世の中で「普通」とされている狭いイメージに、ぴったり当てはまる人は実際にはほとんどいません。性欲の強さ、好み、ファンタジー、何に快感を感じるかは、人によって大きく異なります。だからこそ、自分自身のセクシュアリティに好奇心を持って向き合うことが大切です。
何が心地よくて、何がそうではないのか。何か特定のゴールに到達しなくてはいけないと思わずに、自分のペースで探ってみてください。

セルフプレジャーやプレジャートイも、自分を知るためのひとつのツールになり得ます。プレジャーとは「こう感じるべき」と教えるものではなく、自分の身体や反応について知るきっかけを与えてくれるものだからです。
自分にとって心地よいと感じるものがあるなら、それが誰かと同じかどうかを気にしすぎず、楽しみ、探求していいのだと思います。
自分のプレジャーとパートナーとの関係
ーーパートナーがいても、自分のプレジャーを大切にしても大丈夫?
エリザベスさん:
もちろんです。セルフプレジャーも、パートナーと楽しむプレジャーも、どちらもごく自然なものです。どちらか一方を選ぶ必要はありません。
セルフプレジャーは、自分の身体や好み、どのような刺激に反応するのかを知る助けになります。一方、パートナーとの親密な時間には、また違った魅力があります。つながりやコミュニケーションがあり、一緒にプレジャーを見つけていくことができます。

カップルでプレジャートイを取り入れたい場合、私はまずプロダクトを選ぶことよりも、会話から始めることをおすすめします。何に興味があるのか、どんなことなら心地よく感じられそうか、お互いの境界線はどこにあるのか。まずはそうしたことを話してみる。そのうえで、二人とも興味を持てるものを「一緒に試してみる」という感覚で取り入れてみてください。
最初から「正しく」使う必要はありません。プレジャートイは、すでにうまくいっている何かの代わりになるものでもありません。二人で楽しみ、発見できる選択肢をひとつ増やすものと考えてもらえたらと思います。
The Pleasure Fundに込めた想い
女性の性的健康を、もっと研究するために
ーー女性の性は、まだ十分に研究されていないの?
ヴェレーナ・ジングマンさん(以下、ヴェレーナさん):
女性の健康に関する研究では、これまで十分な研究資金や機会が与えられてこなかった分野が多く、それが現在「ジェンダー・ヘルス・ギャップ」と呼ばれる格差の一因になっています。なかでも、女性の性的健康やウェルビーイング、プレジャーについては、いまだ十分に研究されていない領域が多くあります。
Womanizerとして、この課題について発信するだけではなく、実際に変化につながる取り組みをしたいと考えました。そこで2021年、女性の性的健康、ウェルビーイング、プレジャーに関する研究に5年間で25万ユーロを投資する取り組みとして、The Pleasure Fundを立ち上げました。
目指していることは、とてもシンプルです。これまで十分に光が当てられてこなかった分野の知見を増やし、ジェンダー・ヘルス・ギャップを少しでも縮めていくことです。

ーー女性のプレジャーを研究することには、どんな意味が?
ヴェレーナさん:
セクシュアルウェルネスは、心身の健康やウェルビーイングの一部です。研究によってデータやエビデンスが蓄積されれば、思い込みだけでなく、根拠に基づいて女性の性的健康やプレジャーについて語れることが増えていきます。
そうした知見は、研究者や医療従事者だけでなく、女性自身が性的健康やプレジャーについて理解を深めることにもつながると考えています。
女性のプレジャー研究で見えてきたこと
ーー女性のプレジャーについて、研究はどこまで進んでいる?
ヴェレーナさん:
活動を通じてあらためて感じるのは、女性の性やプレジャーについて、まだ分かっていないことが多いということです。特にセルフプレジャーは長くタブー視されてきたテーマですが、ウェルビーイングとの関係も含め、もっと話していく必要があると思っています。
Womanizerがキンゼイ研究所と行った更年期に関する研究では、Womanizerを使ったセルフプレジャーを4週間行った後、約93%の参加者が、少なくとも1つの更年期症状を以前より少ない頻度で経験したと報告しました。
過去には、セルフプレジャーと生理痛の関係についての研究も行っています。月経もセルフプレジャーも、話題にしづらいと感じる人の多いテーマです。こうした研究を重ねることで、女性が自分の身体を理解するための知識や選択肢を増やしていきたいと考えています。

製品開発だけではない、Womanizerの取り組み
ーーWomanizerが製品開発だけでなく、研究にも力を入れるのはなぜ?
ヴェレーナさん:
Womanizerは、単に製品をつくるだけのブランドではありません。女性のプレジャーが、もっと自然に理解され、語られる社会をつくっていきたいと考えています。
そのためには、女性のニーズに応えるテクノロジーを開発するだけでなく、研究を支援し、セクシュアルウェルネスについて語りやすい環境をつくることも大切です。
プレジャーとウェルビーイング、健康とのつながりに目を向け、これまで十分に注目されてこなかったテーマに光を当てていくことも、Womanizerの役割だと考えています。

「自分のプレジャーは、自分のもの」Womanizerが日本の女性へ伝えたいこと
ーー自分のプレジャーを大切にするために、意識したいことは?
エリザベスさん:
まず伝えたいのは、自分のセクシュアリティやプレジャーに興味を持ち、自分なりの方法で探ってみることは、まったく自然なことだということです。
自分の身体について知ること、自分が何を心地よいと感じるのかに気づくことは、とても前向きな「自分を知る」という行為だと思います。何よりも、自分をジャッジせず、好奇心を持つことを許してあげてほしいと思います。
あなたのプレジャーは、あなた自身のものです。それが自分にとってどんな意味を持つのかは、自分自身で見つけていっていいのです。
ヴェレーナさん:
プレジャーは、とても個人的なものです。性欲、マスターベーション、セックス、オーガズムの感じ方に、「こうでなければならない」というひとつの正解はありません。
何が自分にとって心地よいのかを決められるのは、自分自身だけです。そして、プレジャーも自分自身の一部であり、恥ずかしいものではありません。
Womanizerが当たり前にしていきたいのは、自分の身体に興味を持ち、何が心地よいのかを知ることも、自分自身を知ることのひとつだという考え方です。

ーーWomanizerが目指しているものとは?
ヴェレーナさん:
私たちが目指しているのは、女性のプレジャーやセクシュアルウェルネスが、セルフケアやウェルビーイングの自然な一部として捉えられる社会です。
この10年ほどで、セクシュアルウェルネスは、ウェルビーイングやテクノロジー、カルチャーといった、より日常的な領域でも語られるようになってきました。一方で、まだ取り組むべき課題も残っています。
最終的には、誰もが、そして特に女性が、プレジャーについて自分自身で選択するために必要な情報や研究、製品にアクセスでき、安心して自分らしい選択ができ、その選択に罪悪感や恥ずかしさを抱かなくていい社会をつくっていきたいと考えています。

Womanizerの製品や、独自技術「Pleasure Air Technology」を搭載したモデルについては、こちらからチェック。
Womanizer(ウーマナイザー)
https://www.womanizer.com/jp/











