『美女と野獣』でベルを演じたエマ・ワトソン。ぴったりすぎると話題だったが、制作陣はあることを懸念していた! また、フェミニストであるエマがディズニープリンセスを演じた理由とは?(フロントロウ編集部)
『美女と野獣』エマ・ワトソンの出演に1つの不安
2017年に公開された実写版『美女と野獣』は、ディズニーが1991年に公開したアニメーション版のリメイク。『ハリー・ポッター』シリーズで有名なエマ・ワトソンが主人公のベルを演じると世界が知った時には、イメージがぴったりだと話題になった。
知性からくる思慮深さや、外見の雰囲気など、“エマ以上にベルっぽい俳優はいない”と思わせられる説得力があるキャスティングであり、ビル・コンドンも当時英Digital Spyのインタビューで、「エマは第一の、そして唯一の候補でした。彼女はすべての資質を持っていました。彼女の知性、美しさ、才能のことです」と語っている。しかし、ある1つの心配もあったという。それは一体?
「1つの懸念点は、彼女が歌えるのかどうかということでした」

監督によるハッとする指摘。『美女と野獣』では演技力だけではなく、歌唱力も必要なのだ。しかし監督によると、エマと対面したことでその不安も解消されたそうで、「彼女に会った時、上手くいくだろうという、より一層の希望がありました。彼女もこの物語とキャラクターに本気の情熱があるように見えたからです。そしてちょっとした収録をしたら、“ワォ。これだね”という感じでしたよ」とのこと。
そして彼女は歌声も素敵であることは、本編を見た人なら分かるはず。
エマ・ワトソンがプリンセスを演じた理由
監督からもファンからも絶賛されたエマだが、彼女がディズニープリンセスを演じると決めたことに驚いたファンもいるはず。エマは女性の人権のために活動してきたことで有名であり、一方のディズニープリンセスは女性の描き方で批判されてきた歴史があるから。
例えばキーラ・ナイトレイは、子どもが小さい時にはディズニープリンセスの映画を見せないようにしていたし、数年前には4歳の少女が『アラジン』を見て怒る動画が拡散されたこともある。ディズニーがダメというわけではなく、昔の作品は昔の価値観によって制作されているため、世代を超えて知られているディズニープリンセスの多くはジェンダーステレオタイプを含んでいる。
しかし、演じるのがベルというキャラクターだったことや、物語が2017年に描き直されることで、エマは出演を楽しんだよう。監督はベルや本作が描いた愛について、こう語っている。
「エマは、ただディズニープリンセスになることには興味がなかったと思います。“プリンセス”という言葉自体、彼女にはささらなかった。だってそれは“いつか王子様が迎えにきて…”と暗示するものですからね。1991年版のベルもそうですが、男の子よりも本のほうが興味深いというのが、ベルを形作るものです。男性を見つけて結婚するということだけの物語じゃない。物語の最後も、2人の愛を祝福する形でしょう。結婚式のシーンではないんですよ。本作でのハッピーエンドは、彼女がティアラをつけることではないのです」
(フロントロウ編集部)