第75回ゴールデン・グローブ賞のステージに登場した映画『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンが放った、さりげなくも強烈な一言に業界内外から称賛の声が上がっている。

たった一言で痛いところを突く

 この日同アワードに出席したほとんんどの女優たちと同じく、黒のドレスに身を包んだナタリーは、映画『ダヴィンチコード』シリーズなどで知られる映画監督のロン・ハワードとともに、最優秀監督賞の受賞者を発表するプレゼンターとして登壇。

 ハワード監督のコメントに続き、候補者たちの名前が発表される前に言うアワードの決まり文句である「Here are the all nominees(候補者はこちらの方々です)」というフレーズを言うことになっていたナタリーは、この一節にある一語をプラスして、映画界の問題点をチクリと攻撃した。

画像: ステージに登場したナタリーとハワード監督。

ステージに登場したナタリーとハワード監督。

 ナタリーは、「Here are the all-male nominee(候補者はこちらの男性の方々です)」と男性ばかりが名を連ねた候補者たちを紹介。

 今年は、ミュージカル/コメディ部門の作品賞を受賞した『LADY BIRD(原題)』のグレタ・ガーウィグ監督や、世界的大ヒットを記録した『ワンダー・ウーマン』のパティ・ジェンキンス監督をはじめ、数々の才能あふれる女性監督たちの作品が注目されたのにもかかわらず、なぜか同アワードの最優秀監督賞には男性監督しかノミネートされていないという事実を、お決まりのフレーズに「male(男性)」というたった一語を挟み込むことで見事に皮肉り、映画界に根強く残る男性至上主義体質に警笛を鳴らすメッセージを送った。

 顔色ひとつ変えずにナタリーが放ったこの会心の一撃には、彼女の隣に立っていたハワード監督も思わず「あはは…」と頷きながらぎこちない笑い声を上げるのみ。

 その後スクリーンに映し出された男性監督たちは、なんとも気まずそうな表情を浮かべ、客席からはどよめきと歓声が巻き起こっていた。

 お茶の間で見ていた視聴者たちからは「拍手が止まらない」、「カッコよすぎる!」とナタリーの行動を絶賛する声が上がっているほか、同業者である女優たちからも称賛コメントが相次いでいる。

 フェミニストを公言しているナタリーは、2016年末に行われたあるイベントでのセクハラ・レイプ被害に関するディスカッションで、自身も過去にプロデューサーから性的関係を要求されて断ったことがあると告白。 2017年元日からスタートした、セクハラや性差別撲滅を訴えるタイムズ・アップ運動への参加にあたり、それまで持っていなかったインスタグラム・アカウントを新設してまで支持を呼び掛けている。

「タイムズ・アップ」の発起人に名を連ねる女性たちや、彼女たちが同伴した活動家たちと。ナタリーは後列右から4番目。

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