セレブリティが積極的に政治的な発言をするアメリカでは、選挙が近くなると、セレブたちが自身の支持する政党や候補者の応援キャンペーンをSNSで行うのが常。
そんななかテイラー・スウィフトは、政治的な発言をしない珍しいセレブとして知られていた。2016年のアメリカ大統領選時も、多くのセレブが共和党の大統領候補だったドナルド・トランプ氏を強く批判したがテイラーは沈黙を貫き、一部で「無責任」などと批判を浴びてきた。
しかし10月8日、テイラーが約12年のキャリアで初めて、政治的な発言をすることを解禁。その理由を明かし、11月に行われる中間選挙を前に、民主党候補者への支持を表明した。
11月6日に行われる中間選挙についての投稿です。私はテネシー州で投票します。これまで自分の政治的意見を公に出すことを避けてきましたが、過去2年間に私の人生やこの世の中で起きたさまざまな出来事を考えて、意見が変わりました。私はこれまでも、そしてこれからもずっと、この国に住む全員の人権を守り、闘ってくれる候補に投票してきました。私はLGBTQの権利のための闘いを信じています。そして性的指向やジェンダーにもとづいた差別は間違っているとも信じています。未だにこの国で見る、有色人種の人たちに向けた制度的な差別は恐ろしく、極めて不快で、今でもこの世の中に存在しています
肌の色や性別、そして誰を愛するかにかかわらず、すべてのアメリカ人の尊厳のために闘ってくれない人に投票はできません。今回テネシー州から上院議員に候補しているのはマーシャ・ブラックバーンという女性です。出来る限り女性の議員に投票するようにしてきましたが、私はマーシャ・ブラックバーンをサポートすることはできません。彼女がこれまで議会で行ってきた投票記録を見ると恐ろしくなります。彼女は女性の同一賃金についての案に反対しました。彼女はデートレイプやストーカー、家庭内暴力から女性を守るためのVAWA案の改正にも反対しました。彼女は企業側が同性愛者のカップルにサービスを提供することを拒否してもいいと信じています。さらに彼女は、彼らには結婚する権利がないとも信じています。これらは私が考えるテネシーの価値観ではありません
私は、上院はフィル・ブレデセン氏に、下院はジム・クーパー氏に投票します。どうかお願いだから、自分の州の候補者について知識を身につけて、自分の価値観と近い人に投票してください。ほとんどの人にとって、100%賛成して投票できる候補者や政党はいないでしょう。だけどどちらにしても投票はしなければいけません
聡明で思いやりがあって、冷静沈着なたくさんの人々が過去2年間で18歳になりました。そして彼らは今、自分たちの投票に特別な意味を持たせることができるのです。だけどまずは、登録が必要です。すぐできて簡単なことです。テネシー州での登録の最終日は10月9日です。登録の情報はvote.orgで見つけられます。ハッピー投票!
テイラーの考えを大きく変えた「過去2年間に私の人生やこの世の中で起きたさまざまな出来事」というのは、2017年にテイラーが元ラジオDJのデヴィッド・ミューラーからセクハラを受けて訴訟を起こしたことや、「Me Too」や「Time’s Up」といった女性の権利を訴える動き、さらにはトランプ政権下で激化する差別や偏見の問題などが考えられる。
テイラーがこれまで沈黙してきた理由
テイラーがこれまで政治的な表明をしてこなかった背景には、テイラーの原点である「カントリーミュージック」が関係している。一般的にカントリーミュージックが人気なのは、保守的(共和党)な支持者が多い地域。実際にテイラーが投票を行うテネシー州は、2016年のアメリカ大統領選の時にトランプ氏が過半数の票を獲得して勝利した場所。
そのためテイラーにとって、トランプ米大統領率いる共和党を批判することはファンを失うことになりえる行為。テイラーは2014年のフェイスブック社の調査で「民主党・共和党支持者の両方から最も支持されているアーティスト」であることが分かっているが、これには、他のアーティストとは違って政治的な発言をしてこなかったことが影響していた。
しかし今回テイラーは、LGBT+や男女の平等な権利を求めて闘う民主党の候補者に加勢するために、ついに自分の政治的な考えを表明した。
トランプ米大統領が反応
テイラーのキャリアにとって大きな発表となった、今回の政治的な表明。これについてホワイトハウスに質問されたトランプ米大統領は、「テイラー・スウィフトの曲を25%嫌いになったとでも言っておこう」と発言した。
さらに一部の共和党支持者の間では、「彼女のキャリアは終わった」と揶揄する声も出ているが、テイラーの投稿には160万件以上のいいねがついており、ジジ・ハディッドやブレイク・ライブリー、そして長い間犬猿の仲だったケイティ・ペリーなど、多くのセレブもいいねをしている。(フロントロウ編集部)