R.ケリーによる性的暴行を告発するドキュメンタリー番組がきっかけで、抗議のムーブメントが広がるなか、ケリーの元妻と娘が騒動に言及した。(フロントロウ編集部)

「未成年を性奴隷」したR.ケリーへの複雑な思い

 大御所ラッパーのR.ケリーによる性的暴行や未成年へのレイプ、セックスカルト疑惑などを告発するドキュメンタリー番組『Surviving R. Kelly(サバイビング・R.ケリー)』が放送されたことで広がる、R.ケリーの抗議運動。

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 多くのセレブが抗議活動をするなか、ケリーの元妻であるアンドレア・ケリーと娘のジョアン・ケリーが、英ニュース番組『グッドモーニング・ブリテン(Good Morning Britain)』に出演し、渦中に揺れる騒動について胸の内を明かした。

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 1996年から2009年までケリーと結婚していたアンドレアは、離婚裁判の時にDVの被害を訴えたことがあり、同ドキュメンタリー番組でも被害者の一人として、別れた夫を告発した。そんなアンドレアは、ケリーの人格をこう語った。

「私たちは2人の人の問題を解決しようとしているということを世間は明確に理解していないと思います。“R.ケリーという人格”と“ロバート(※ケリーの本名)という人物”です。私たちは、“R.ケリー”ではなく“ロバート”という人物と親しい関係にありますが、これはとてもパーソナルで難しい問題です。しかし、(今回の番組は)必要なことだったと思います。人々を救い、変化を生み出しています。私たちはその狭間にいるのです」

 さらにアンドレは、ケリーの虐待的な人格は、DVが日常的に起こっていた家庭環境が影響していることを告白。

「結婚当初のロバートは面白い人でした。私たちは友達として付き合いが始まり、恋愛に発展しました。彼は傷ついていて、私に子供の頃に虐待されていたことや読み書きに苦労していた本音の秘密を明かしてくれました。彼の家庭環境ではDVが普通のことでした。私たちを結びつけたのは、女性に手を出す男性を私が初めて見たのは自分の祖父だったという事実があったからです。バプティスト派の牧師だった祖父は祖母に暴力を振るっていました。つまり、私たちの関係は虐待的だったのです。でもそれは珍しいものではなく、私や彼が見てきたことなのです。ですから、“R.ケリー”という傲慢で制御不可能な人格は、“ロバート”の壊れた部分を見てきた私が知る彼とは正反対です」

 騒動で訴えられているケリーの人格とは違う部分があることを主張したアンドレアだけれど、アンドレア自身もケリーから暴力を受けたひとり。複雑な心境を明らかにしつつも、ケリーの犯した罪について強い思いを訴えた。

「結婚していたから彼の行いが理解できるけれど、決して同情はしていません。暴力を受けてきたから暴力してもいいなんてことは決してありません。だからハッキリさせておきます。(今回の騒動は)ひどくつらいものです。私はケリーの被害から生き延びた存在でありながら、彼の子供の母親でもあり、この2足の草鞋を履き分けることは私にとって非常に難しいのです。でも私は何をすべきがわかっています。前に進むことで、若い女性・少女たちの告発に妥当性をもたらすことができるでしょうし、母親としても、嵐を抜け出した10年間を考えて何も言わないなんてことはできません。(中略)繰り返しになりますが、私の告発は、元夫の背景を知る身としての理解があり、かつ被害者としての証言です」

 そしてアンドレアは、「私は彼から言葉で傷つけられ、精神的、身体的、そして性的暴力を受けました。そして今現在も、経済的に私を追い詰めています」と、アンドレアが告発した2018年6月から、ケリーが養育費を払うことをやめたことも暴露した。

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「見るのがつらい」娘の悲痛な思い

 現在21歳のジョアンは、自分と同じ年代、もしくは年下の女性が父親を告発しているということについて、悲痛な思いを語った。

「この騒動を頭で整理するのも理解するのもすごく難しいです。どんなことがあっても彼は私の父親なんです。私の心は引き裂かれました。母が言ったように、私は女性たちの告発や父に関するウワサを肯定も否定もしたくありません。とはいえ、私は父親としての彼を知っているし、彼と一緒にあの家に暮らしていました。大切な人がたくさんの人に迷惑をかけていることを見るのがつらいです」

 そのうえで、ケリーの騒動を受けて、SNSに関する騒動を「モンスター」「Terrible(※恐ろしい/ひどいという意味)」と表現したことについて、「父をバッシングするつもりはない」と弁解しつつも、家族として距離を置くべきだということも口にした。

「今はすごく傷ついています。どんなことをしても彼は血がつながった家族であり、私はまだ父を愛しています。皆さんにわかってほしいのは、私は自分の発言で、父が大嫌いでバッシングしたつもりはありません。自分の行動に責任を持たなきゃいけないし、自分にとってそして家族にとってすべき行動をとらなきゃいけなかったと考えています。もし父親が有害な存在なら、残念だけど距離を置いて愛するしかないと思います」

 一度は人生を共にした家族にまでも告発され、多くの女性から寄せられるケリーに関する耳を疑いたくなる証言の数々。それでもなお、ケリーは弁護人を通してすべての証言を否定している。

画像: 「見るのがつらい」娘の悲痛な思い

 複雑な立場に置かれるアンドレアとジョアンの勇気ある行動で、騒動が解決に向かうことを願う。

画像: R. Kelly’s Ex-Wife and Daughter Speak Out About the Allegations Against Him | Good Morning Britain www.youtube.com

R. Kelly’s Ex-Wife and Daughter Speak Out About the Allegations Against Him | Good Morning Britain

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(フロントロウ編集部)

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